INDEX
  1. 展開先のお国事情を知る
    1. 日本のお国事情とは違うからこそ戦略を練る必要がある
    2. 自国メーカーを持っていない国を狙う
    3. 自社の販売モデルと現地の文化が似た国を探す
  2. 国内の顧客データ分析でビジネスチャンスを逃さない
    1. 「具体的なデータ」と「抽象的なデータ」を分析する
    2. 海外バイヤーの多い国を狙う

中国人観光客の爆買いで分かるように、日本の製品は海外で根強い人気を誇っています。それは新品だけの話ではなく、中古品にも言えることです。

しかし、海外で店舗を出すにしてもただ中古品を販売するだけではビジネス展開は失敗してしまいます。

ここでは、国ごとの事情把握をはじめとする海外ビジネス展開のコツを事例とともに2つご紹介します。

展開先のお国事情を知る

日本のお国事情とは違うからこそ戦略を練る必要がある

海外展開先のお国事情を知ることは、戦略を練ることにも繋がっていきます。

例えば、中国の国民はペットボトルが1本からでも回収地で換金可能であると認識しているため、回収会社が中国に進出する場合はお金を払ってまでペットボトルを回収する必要性が生じてしまいます。どんなに資金力がある企業であっても、廃棄物にずっとお金を払い続けられませんよね。

各国には日本のリサイクル法と似ている制度はそれぞれありますが、社会や文化の違いによって廃棄物への意識は異なる上に、行政が関与する範囲までもが日本とは大きく変わってしまいます。これを念頭に置いておきましょう。

現在リサイクル業界の新たな展開先は「中国」が最も多く、2012年は全体の3割ほどを占めており、次いでタイ、ベトナム、インドというデータが確認できました。どの国も、今では経済大国として有名になりつつありますね。元から人口の多い中国とインド以外にも、ベトナムは1億人を目前にしており、タイも年々人口増加の道のりを辿っている統計が出ています。

日本の人口は減少傾向の上、物の消費量も少ないのでリサイクルショップに持ち込まれてくる中古品の数も減少しています。そして、メーカー企業のサプライチェーンは海外で構築されています。

物、素材、人口が少ないからこそ、現地の事情を知ってから海外でのビジネス展開が必要となってくるのです。

自国メーカーを持っていない国を狙う

自国で全く生産せず、輸入に頼っている国を対象にしてお店を出す戦法は需要が高いので集客力があります。

中古車販売のガリバーで有名な株式会社IDOM(旧:株式会社ガリバーインターナショナル)は、ニュージーランドを海外拠点のひとつに選びました。進出の決め手は、「ニュージーランド国内に自動車メーカーがない」という国の事情です。

ニュージーランドは中古車の需要が高いものの、地域密着型の中小店舗やオークション会場での購入が主流で、顧客は欲しい車を満足に購入できない状態でした。

そこでIDOM独自の画像販売システムを導入し、日本で買い取った中古車約9,000台をオンライン上で直接購入出来るようにしました。

最大級の中古車販売店舗を、ニューマーケット店、ノースショア店と順次オープンしていき、現在では連日500組を超える来客があるそうです。

日本の安心ブランド・従来では考えられなかったサービスで海外にアプローチし、地域に根ざしたビジネスをしていくには、国の事情をリサーチすることが大切になってきます。

自社の販売モデルと現地の文化が似た国を探す

進出する国の文化と自社の販売モデルが似ていれば、地域に浸透しやすくなります。

DonDonDown on Wednesdayを運営する株式会社Don Don upは、2014年9月にカンボジアのプノンペンに出店しました。

カンボジアにおいて一般的な買い物場所と言えば「路上の露店」です。公設市場や露店に置かれている商品には価格の表示が無く、顧客が購入価値を決める習慣が今もなお根強く残っています。これは毎週水曜日に値下げを行なうDonDonDown on Wednesdayとの共通点です。

カンボジアはASEAN加盟国のひとつで急成長を遂げている最中ですが、国内の生産力が弱く、質の悪い他国製品を新品購入している状況でした。

Don Don upは「カンボジアの習慣が自社の販売モデルと似ていること」「質の悪い新品が市場に流通していること」に勝機を見出し、進出を決定しました。

Don Don upは良質な商品の証である「Used in Japan」と「Made in Japan」の強みを活かしながら多くのカンボジア人から愛される企業に成長中です。

2017年1月には13号店目のダウムトゥカウ店をオープンしていますので、カンボジアに受け入れられつつあることが分かりますね。最近では期間限定で現地の顧客から買い取るサービスを実施し、現地のニーズに臨機応変で対応しています。

このように、販売モデルが近い国を展開先に選ぶと、現地の文化との間で発生する食い違いをなるべく避けることが可能になります。

国内の顧客データ分析でビジネスチャンスを逃さない

データ分析

「具体的なデータ」と「抽象的なデータ」を分析する

海外展開の見込みは国内の買い手状況からも充分に判断できます。

乾季の多い国にわざわざ雨具を売りに行かないように、需要のない国に物を売り出す必要はありません。需要と供給が成立する所で商売が始まるのは大前提です。

どの国にリサイクル品の需要があるか分析する場合は、「店の顧客データ」が重要な判断基準として挙げられます。その中から「特定の国からの来店が多い」「ある国のバイヤーが◯◯万円相当の購入をしている」「この商品は特定の地域の顧客が購入している」といった特徴が見つかればビジネスチャンスの到来です。

しかし、具体的なデータだけではなく抽象的なデータも忘れてはいけません。

例えば「アメリカのバイヤーが急須を大量購入した」という具体的なデータがあれば、そこから「現在アメリカでは和風の日用品が流行している」という抽象的なデータを導く必要があります。また、簡単には見えてこない複数の事象の因果関係を見出していくこともデータの分析のひとつです。

お店のデータを利用して海外ビジネスの第一歩を踏み出しましょう。

海外バイヤーの多い国を狙う

自社の顧客リストに海外バイヤーがいれば、そのバイヤーのいる国に出店してみる手段も来客が見込めるでしょう。

海外バイヤーがご自身のお店に買い付けるという事実は、その国にとってお店にある商品は需要がある証拠です。むやみやたらと展開するのではなく、「そこに店を出したとして、自分の会社は本当に需要があるのだろうか?」と考えることが重要になってきます。

買取専門店として有名な株式会社エコリングは、自社運営のトレードセンターやオークションサイトで商品を買い付ける海外バイヤーに注目し、バイヤーが多くいる国に出店する方法を採用しています。

現在、エコリングは2010年から香港、ウガンダ、フランスをはじめとする5店舗を世界展開していますが、さらにロサンゼルス、ニューヨーク、チリへの展開を目標にしているそうです。すでにアメリカのバイヤーが億単位で中古品を買い付けているという顧客データがあるので、明確なビジョンを迅速に構築できる強みがあります。

エコリングは自社運営サイトで海外のトレンド情報を積極的に発信しているので、常にデータを分析して海外事業へのきっかけを探していると考えられるでしょう。まずはご自身のお店の分析から始めてみることもオススメします。

業界を問わず、海外展開で失敗した企業は数多し。

今回ご紹介した2つのコツをフル活用して海外ビジネスを成功させましょう。