お金の山

日本では景気対策、雇用回復対策の一環として、企業に対して融資や助成金、補助金などを提供する公的融資制度を導入しています。

国からの融資と言われると、一部の大企業だけが対象だろうと思われがちですが、実際はリサイクル業を営む中小企業でも公的融資を受けることが可能なので、これから事業を始める方はもちろん、運転資金の調達を希望する方はぜひ公的融資制度を活用してみましょう。

INDEX
  1. 中小企業が利用できる公的融資制度の種類
    1. 日本政策金融公庫(日本公庫)
    2. 商工組合中央金庫(商工中金)
    3. 地方自治体
  2. 中小企業を支える助成金・補助金
    1. 厚生労働省
    2. 中小企業庁
    3. 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
    4. 中小企業は公的融資、補助金、助成金を最大限に活用すべし!

中小企業が利用できる公的融資制度の種類

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公的融資制度を設けている機関は色々ありますが、代表的なものをあげていきます。

日本政策金融公庫(日本公庫)

リサイクル業を営む経営者の方には馴染みが深い「日本政策金融公庫」は、国民生活の向上に寄与することを目的に、中小企業向けの小口資金や事業開始資金の貸付を行っている政策金融機関です。

公的融資のバリエーションは非常に豊富で、さまざまなシーンや用途に活用できます。

日本政策金融公庫の主な融資制度

融資制度 利用できる人 資金使途 融資限度額 返済期間
普通貸付 ほとんどの中小企業
(※金融、投機事業、一部の遊興娯楽の業種は除く)
運転資金 4,800万円 5年以内(特に必要な場合は7年以内)※うち据置期間1年以内
普通貸付 ほとんどの中小企業(※金融、投機事業、一部の遊興娯楽の業種は除く) 設備資金 4,800万円 10年以内※うち据置期間2年以内
普通貸付 ほとんどの中小企業
(※金融、投機事業、一部の遊興娯楽の業種は除く)
特定設備資金 7,200万円 20年以内※うち据置期間2年以内
経営環境変化対応資金 社会的、経済的環境の変化などによって一時的に売上の減少など、業況悪化をきたしている中小企業 企業を維持するために緊急に必要な設備資金および経営基盤の強化を図るために必要な運転資金 4,800万円 設備資金15年以内※うち据置期間3年以内
経営環境変化対応資金 社会的、経済的環境の変化などによって一時的に売上の減少など、業況悪化をきたしている中小企業 企業を維持するために緊急に必要な設備資金および経営基盤の強化を図るために必要な運転資金 4,800万円 運転資金8年以内※うち据置期間3年以内
新規開業資金 新しく事業を開始する、または事業開始からおおむね7年以内の人 新規開業資金または事業開始後に必要とする資金 7,200万円(運転資金4,800万円含む) 設備資金20年以内※うち据置期間2年以内
新規開業資金 新しく事業を開始する、または事業開始からおおむね7年以内の人 新規開業資金または事業開始後に必要とする資金 7,200万円(運転資金4,800万円含む) 運転資金7年以内※うち据置期間2年以内
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資) 廃業歴などがあり、創業に再チャレンジする人 新規開業資金または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 7,200万円(運転資金4,800万円含む) 設備資金20年以内※うち据置期間2年以内
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資) 廃業歴などがあり、創業に再チャレンジする人 新規開業資金または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 7,200万円(運転資金4,800万円含む) 運転資金7年以内※うち据置期間2年以内

商工組合中央金庫(商工中金)

中小企業に対する金融の円滑化を図ることを目的とした事業を行っている金融機関です。一般的な融資のほか、国の施策と連携した融資制度なども導入しており、幅広いサービスを提供しています。
もちろん、リサイクル業を営む中小企業も融資を受けることができます。

商工組合中央金庫の主な融資制度

融資制度 利用できる人 資金使途 融資限度額 返済期間
一般的な融資 ほとんどの中小企業 設備資金 要問い合わせ 15年以内※うち据置期間2年以内
一般的な融資 ほとんどの中小企業 運転資金 要問い合わせ 10年以内※うち据置期間2年以内
災害復旧資金 異常な自然現象などによって影響を受けた被災事業者 設備資金、運転資金 要問い合わせ 要問い合わせ
新事業育成資金 高い技術的水準または特色のある製品、サービス等の新たな事業を行う中小企業 新たな事業を開始するために必要な設備資金、運転資金 要問い合わせ 要問い合わせ

地方自治体

各都道府県や市区町村単位で行う公的融資制度です。

  • ・融資制度の種類
  • ・利用できる条件
  • ・融資限度額
  • ・返済期間
  • ・利率

などはそれぞれの自治体が独自に定めているので、融資を受ける際は自分が事業を行っている地域の自治体がどのような公的融資制度を導入しているのかあらかじめ確認する必要があります。

公的融資制度の主な例としては、創業支援融資制度小規模企業融資制度などがあります。

中小企業を支える助成金・補助金

手を差し出す男性

国や地方自治体などが行っている中小企業支援サービスの一種です。一定の条件をクリアしていれば、規則に基づいて助成金や補助金が支給されます。

原則として返済義務は生じないため、融資を受けるよりも中小企業側が受ける負担は少なくなります。ただ、そのぶん融資より支給される金額は少ないため、多くの中小企業は融資と助成金・補助金を組み合わせて起業資金や設備資金、運転資金などに充てています。

助成金・補助金の支給には各官庁のほか、地方自治体やその他機関も携わっているので、自分が支給の対象になるかどうか念入りにチェックしてみることをおすすめします。

厚生労働省

従業員を新たに雇用する場合や、雇用環境の整備など、さまざまな状況に対して一定の助成金を支給しています。助成金の種類がかなり多いので、まずはここからチェックするとよいでしょう。
基本的に業種は関係ないので、リサイクル業を営む中小企業も申請できます。

厚生労働省の主な助成金

助成金制度 利用できる人 支給額
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) 高齢者や障害者などの就職困難者を継続雇用労働者として雇い入れる事業主 1人あたり40~240万円※雇用条件や対象労働者などによって異なる
雇用調整助成金 事業活動を縮小した際、一時的な雇用調整を行って従業員の雇用の維持につとめた事業主 雇用調整にかかった費用の2/3教育訓練を実施した場合は1人1日あたり1,200円
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース) 離職を余儀なくされた人材を離職後3ヶ月以内に雇い入れた事業主 通常助成:1人につき30万円
優遇助成:1人につき80万円

中小企業庁

事業活動を行っている中小企業や、これから事業を開始しようとしている人に対し、色々な支援対策を展開しています。

中小企業庁の主な助成金

助成金制度 利用できる人 支給額
創業・事業承継補助金 新たに事業を開始する人や事業の継承を行う人 創業補助金:50~200万円(補助率1/2以内)
創業・事業承継補助金 新たに事業を開始する人や事業の継承を行う人 事業継承補助金:100~500万円(補助率2/3以内)
地域・まちなか商業活性化支援事業(個店連携モデル支援事業) 商店街で事業を営んでいる中小企業 30~500万円(補助率1/2以内)

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

名前のとおり、高齢者や障害者の雇用支援を目的とした活動を行っている行政法人です。65歳を超えた人の雇用や障害を持つ方の雇用などを行った事業主に対し助成金を支給しています。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の主な助成金

助成金制度 利用できる人 支給額
65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース) 65歳以上への定年引き上げ等の取り組みを行った事業主 20~145万円
※対象被保険者数や定年等を引き上げる年数によって異なる
障害者介助等助成金
1.職場介助者の配置または委嘱助成金
2.職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金
3.手話通訳担当者の委嘱助成金
障害者を継続雇用するために施設や設備の改善および指導を行った事業主 配置:1人13〜15万円(月)
委嘱:1人 6千〜1万円(回)
・実施した内容によって助成金は異なる
・助成の種類によって助成率は異なる
・支給期間、年間の限度額は異なる

中小企業は公的融資、補助金、助成金を最大限に活用すべし!

日本の企業の9割以上は中小企業が占めており、いわば国の経済活動の主軸といえます。
そのため、国や自治体も中小企業に対する手厚い支援を行っており、なかには一般的な金融機関より良い条件で融資や助成を受けられるものも少なくありません。

融資条件や助成金の内容などは各機関によってまちまちで、種類も多いので混乱してしまいがちですが、面倒だからとスルーするのは非常にもったいないですよ。
ぜひ一度公的融資や助成金、補助金制度をつぶさにチェックしてみることをおすすめします。