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先日、リユース・リサイクル情報局の読者様から、「衣類の無料回収には一般廃棄物収集運搬業許可の取得が必要か?」というお問い合わせをいただきました。

このお問い合わせには、廃棄物と有価物の区別、廃棄物の種類、古物商許可の要不要など、リサイクル事業者にとって重要なポイントが関係します。

そこで今回はより詳細なお問い合わせ内容と、それに対する我々日本リサイクル業IT支援協会(JRITS)の回答をご紹介するとともに、回答の法的な根拠について解説したいと思います。

INDEX
  1. 今回のお問い合わせ内容と、それに対するJRITSの回答
  2. 「衣類の無料回収なら許可は不要」の理由
  3. 「衣類の買取なら古物商許可の取得が必要」の理由
  4. まとめ

今回のお問い合わせ内容と、それに対するJRITSの回答

Q&A

まずは今回読者様から寄せられたお問い合わせと、それに対するJRITSの回答をご紹介します。

読者様:新しく廃品回収活動を友人と始めようと考えています。無料で廃品を回収し、それをフリマサービスやリサイクルショップで売る場合、何か許可が必要でしょうか?

JRITS:廃品を「廃棄物」として回収する際は、一般廃棄物収集運搬業許可が必須です。一方で廃品を「有価物」として買取する際は、古物商許可を取得しなければなりません。

お問い合わせのサービスをスタートさせる際は、あらかじめ廃棄物と有価物の違いをご確認いただき、法令を遵守した対応が必要になります。

読者様:回収しようと考えているのは、主に衣類です。この場合も、必ず一般廃棄物収集運搬業許可の取得が必要になるのでしょうか?

JRITS:衣類を廃棄物として無料で回収されるのであれば、一般廃棄物収集運搬業許可の取得は必要ありません(専ら物に該当するため)。ただし取引の過程で「買取」が発生した場合は、別途古物商許可の取得が必要となりますので、ご注意ください。

なぜこのような回答になったのでしょうか。

以下では「衣類の無料回収なら許可は不要」の理由と、「衣類の買取なら古物商許可の取得が必要」の理由について解説していきます。

「衣類の無料回収なら許可は不要」の理由

許可がなくても大丈夫!

衣類を無料で回収したり、あるいは処分費用を受け取って回収したりした場合、この服は「廃棄物」として扱われていることになります。

この時、回収した服は「専ら物」という特殊な廃棄物に分類されます。専ら物とは、新聞などの古紙や古着などの古繊維、アルミ缶などの古銅を含む鉄くず、空き瓶類の4品目を指す廃棄物のこと。

本来一般廃棄物収集運搬業許可や一般廃棄物処理業許可といった許可がなければ、廃棄物の収集運搬・処分はできません。しかし廃棄物処理法の例外として、専ら物の収集運搬・処分については各種許可が必要ないと定められているのです。

したがって、「衣類を無料回収したいが、一般廃棄物収集運搬業許可の取得が必要か?」というお問い合わせに対しては、「必要ない」という回答になるというわけです。

なお、専ら物についての詳しい解説は、以下の記事を参照してください。

「専ら物」の収集運搬・処分には許可不要!法的根拠と不用品回収業者での取り扱いについて解説

「衣類の買取なら古物商許可の取得が必要」の理由

3188古物商許可証 プレート

一方で、衣類を買い取る場合、この服は「有価物」として扱われていることになります。

有価物を買い取るという行為は、古物営業法の定める「古物営業」に該当します。そのため古物商許可の取得が必要となります。

お問い合わせをいただいた読者様は、あくまで無料での回収をしたいとのことでした。しかし時と場合によっては、買取をする必要が生じることもあります。

例えば無料回収に行ったら、お客様が「買取してくれるなら、この服も手放そうと思っているのだけど……」と申し出てこられた場合などです。

もちろんここで「当社は無料回収のみを行なっているので、買取はいたしかねます。申し訳ありません」と言って、買取業者を案内してもかまいません。ですが、それではお客様に手間をかけてしまうのも事実です。

このとき、あらかじめ古物商許可を取得していれば、迷うことなく買取することができるのです。

古物商許可の取得に関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもぜひ参考にしてください。

古物商許可の届け出方法と必要な提出書類

まとめ

衣類の無料回収であれば、専ら物の回収に該当するため、一般廃棄物収集運搬業許可の取得は必要ありません。

しかし、すべての服を無料で回収できるとは限りません。中にはお金を出して買取しなければ譲ってもらえない品物もあるでしょう。その場合は古物の取引になるので、古物商許可の取得が必要となります。

今回JRITSは読者様からのお問い合わせに対して、各種法令を参照するとともに、不明点を公共機関に問い合わせたうえで、回答させていただきました。

JRITSではこのように、会員様はもちろんリユース・リサイクル情報局の読者様からのお問い合わせにも対応しております。リサイクル業の運営や記事の内容などでご不明点がある場合は、お気軽にお問い合わせください。