右肩上がりのグラフ

コロナ禍により、売上減に苦しんでいるリサイクルショップは多いかと思います。一方で、このような状況下でも売り上げを維持・向上させているリサイクルショップがあるのも事実。そのようなお店は、どのような施策を展開しているのでしょうか。

今回は販路に着目し、コロナ禍に売り上げを確保している会員様にインタビューを実施。“今太い”販路について、具体的に教えていただきました。

INDEX
  1. コロナ禍で需要増加の学生寮「コロナになってからも定期的に発注がありますよ」
  2. 「自分の手と足で情報を取りに行く」ニーズ減の社員寮にも商機あり
  3. 引越しニーズの増加により、不動産仲介業との提携も効果的に
  4. まとめ

コロナ禍で需要増加の学生寮「コロナになってからも定期的に発注がありますよ」

学生寮のイメージ

「直近で言えば、学生寮からの発注はコロナになってからも定期的に発注がありますね」。事実、コロナ禍で学校に登校できない学生も増える中で、学生寮の需要は増加傾向にあるとされています。

例えば東京都小平市にある学生寮「チェルシーハウス国分寺」には、複数の大学の生徒が入寮し、リアルな交流をしています。先行きが不透明な中、こうした需要は今後も増えていくでしょう。

「きっかけは担当者からの電話でした」。会員様の話によれば、最初に担当者からの電話問い合わせがあり、実際に来店したうえで取引が始まったのだそう。

その後、何度か取引をするうちに内情をヒアリングしたり、電話番号の交換をしたりした結果、いわばかかりつけのリサイクルショップになったのです。

会員様に学生寮に販路を拡大するためのポイントについて質問したところ、「とにかくスピードが大切です」と即答。そのために設置や故障した家電の回収なども、学生本人が立ち会ってくれれば対応できるようにするなど、融通を利かせているそうです。

また「安さも大切ですが、一般のお客様と違い、自分のお財布が痛むわけではないので、数百円〜1,000円、2,000円程度にはこだわらない方が多いですね」。ただし、やはり定期的に取引があるので、相場よりも数千円は安く販売しているとのことでした。

「自分の手と足で情報を取りに行く」ニーズ減の社員寮にも商機あり

社員寮のイメージ

「あとは同じ寮でも、社員寮からの引き合いも多いです」。現在、世間的にはコロナによる不況や人の移動を控える向きから、社員寮のニーズは減少傾向にあるという見方が強くなっています。

その点をお尋ねすると「ニーズはあるところにはあります。世間的には減少傾向にあっても、自分の手と足で情報を取りに行くと意外とニーズは見つかりますよ」と話します。

販路の拡大方法は「基本的に向こうからの電話問い合わせです」。しかし安定的に中古家具・家電を供給してくれるリサイクルショップを探している企業は多く、テレアポをすれば取引先が見つかる可能性は十分ある、と言います。

特にメンズエステ業界からの引き合いは多く、2021年に入ってからも定期的に発注があるほか、中には人材派遣会社の社員寮から一度に20〜30台の発注が入ることもあるのだとか。

そうした大量発注の際に在庫がどうしても足りない場合は、全体の20〜30%程度なら他店で買い付けるケースもあるそうです。

「注意したいのは、取引条件の管理です」。一方で、各社でパッケージ化(家電○点で○万円など)したり、支払いのタイミングなどを先方に合わせたりしていると、取引条件が紛らわしくなってトラブルにつながる可能性も。

話をお聞きした会員様は、トラブル防止のために早い段階でこちらから条件を提示して、各社で統一しているとのことでした。

引越しニーズの増加により、不動産仲介業との提携も効果的に

不動産仲介業のイメージ

「不動産仲介業の方と提携できるようになると、より安定した需要が見込めます」。

住民基本台帳人口移動報告によれば、2021年6月だけを見ても全国的に引越しニーズは去年に比べて増加しています。したがって、不動産仲介業者と提携することで安価な家具・家電を探している入居者とのマッチングが簡単にできるようになる、というわけです。

「前提となるのは、自社ホームページに法人様向けのページを作っておくことです」。不動産仲介業者のエンドユーザーは学生や社員ではなく、お客様です。

そのため取引先選びも慎重。事前にホームページなどで見積書や請求書、請求のタイミングのほか、具体的な事例などをしっかり調べてから問い合わせに進む傾向にあるのだそうです。

実際、お話を聞いた会員様が最初に取引を始めた不動産仲介業者は、ホームページを見てから問い合わせをしてきたのだとか。

ただ、それ以降は紹介。最初の業者が系列店を1店舗紹介してくれたため、結果的に不動産仲介業者関連だけで1年で60〜80件ほどの取引につながっているそうです。

またあくまでホームページがある前提としながらも、「社員寮と同様、テレアポやDMを使っての営業も効果が見込めると思います」とのこと。安定的な需要が期待できるので、挑戦してみる価値は十分ありそうです。

まとめ

コロナ禍により、今まで通りのやり方が通用しなくなったリサイクルショップも少なくないでしょう。しかしそれは、やり方さえ変えれば、結果への糸口が見つかる可能性があるということでもあります。

今回の内容を参考に、今までとは違う販路の開拓に挑戦してみてはいかがでしょうか。思わぬチャンスと出会えるかもしれません。