リサイクルショップにとって仕入れは生命線。主要な商材の仕入れが減れば、それだけ売上も下がってしまいます。

取り扱い商材の幅を広げておけば保険になりますが、商材選びはなかなかに悩ましい問題です。

そんなリサイクルショップオーナーの方に、今提案したい商材が釣具です。

以下では、なぜ今釣具なのかを統計的な数字をもとに説明すると共に、買取を新たに始めるためのポイントや高利益が狙える有名メーカーなどについても紹介します。

INDEX
  1. 今釣具買取がアツい理由とは?
  2. 「状態査定」さえ覚えれば、釣具買取は始められる
  3. 釣具買取を始める際の注意点
    1. 有名メーカーを知っておく
    2. 廉価品は買取不可or引き取りが吉
    3. 最初は手をかけすぎない
  4. まとめ

今釣具買取がアツい理由とは?

新しい商材として釣具がアツい理由は3つあります。

1.釣り人口が増えてきている。
2.釣具需要が拡大傾向にある。
3.高い坪売上が期待できる。

公益財団法人日本生産性本部が毎年発表している、余暇についての統計「レジャー白書」によれば、コロナ禍に入った2019年の釣り人口は2018年よりも50万人増加して670万人となっています。

2019年以降、ますますコロナ禍の社会に対する影響が色濃くなっていると考えれば、屋外で密にならずに楽しめる釣りは、レジャーの過ごし方としてより人気を集めていると考えていいでしょう。

釣具需要もこれに合わせて拡大傾向にあります。

一般社団法人日本釣用品工業会が2022年1月に発表した第25回「釣用品の国内需要動向調査報告書」によれば、2020 年の釣用品国内出荷規模が対前年比110.7%のプラス成長2021 年も対前年比 112.0%のプラス成長と、年々釣具を買う人が増えているのです。

リサイクルショップが釣具を取り扱うとなれば、メインとなるのは竿(ロッド)とリールですが、いずれもあまり在庫スペースをとりません。

にもかかわらず、いずれも中古売価で数万円代のものが多いので、他の商材よりも高い坪売上(1坪あたりの売上)が期待できます

確かに釣具の分野は中古品を専門に取り扱うお店や、新品釣具と合わせて取り扱う専門店もたくさんあります。家具や家電などをメインに扱っているリサイクルショップがいきなり取り扱い始めても、在庫を実店舗でさばききるのは難しいかもしれません。

しかしヤフオク!やメルカリなどを活用すれば、実店舗としての実績がなくても売上を作れる可能性は十分にあります。だからこそ、「新しい商材として釣具が今アツい」と言えるのです。

「状態査定」さえ覚えれば、釣具買取は始められる

釣具は比較的専門性の高い商材です。現時点で釣具の知識がないリサイクルショップオーナーはハードルが高いと感じるかもしれません。しかし、実は他の中古商材と変わらない部分も少なくないのです。

例えば冷蔵庫の買取をする際はたいてい、メーカー、定価、年式、状態、人気といった要素について査定を進めていくかと思います。これは釣具も同じなのです。

ただ、冷蔵庫とソファ、洋服と貴金属では状態査定で見るポイントが大きく違うように、家具・家電と釣具では状態の査定基準に大きな違いがあります。

竿であれば、曲がりがないか、ヒビ・割れにつながるようなキズがないか、持ち手(グリップ)はどれくらい劣化しているか、持ち手の端(グリップエンド)にはめ込まれているエンブレムキャップを紛失していないかなどをチェックします。

リールの場合は、キズ・ヨゴレのほか、巻いた時にゴリゴリという感触(ゴリ感と言います)がどれくらいあるかなどをチェックします。また、釣り糸を付けたまま持ち込まれたリールは、メンテナンス時間を考慮して査定を落とすのが一般的です。

業者ごとに事前に定められている買取不可の基準もあります。例えば、

・定価○○円以下のものは買取不可
・明らかに壊れていて使えない竿は買取不可
・極端に年式が古いものは全般的に買取不可
・カスタム品(自作の竿やリールなど)は買取不可

といった具合です。

家具・家電などと同様に、自社のメンテナンス技術や在庫スペース、利益などを考慮してあらかじめルールを決めておくことで、業務量が必要以上に膨らむことを防止できます。

こうした情報は各専門店のホームページや実店舗にいけば、十分集められます。実際に釣具の買取を始める場合は、前もってリサーチしておくことをおすすめします。

大手中古専門店としては、タックルベリーとブンブンがよく知られています。

釣具買取を始める際の注意点

価格表示

最後に、釣具買取を始める際にまず注意するべき点を3つ紹介します。

有名メーカーを知っておく

家電で言えばパナソニックやシャープなど、有名メーカーのものは中古市場でも需要・供給ともに安定しているため、釣具でも有名メーカーを知っておくのは基本です。

大きなところで言えば、SHIMANO、DAIWAの2社。釣りをする人の大半がこの2大メーカーのいずれかの釣具を使っているとされるほどのメジャーどころです。

この2社からは少し落ちるものの、リールの「アンバサダー」シリーズを主力商品とするAbuGarcia(アブガルシア)も根強いファンを持つ有名メーカーの一つですし、LUCKY CRAFT(ラッキークラフト)、Megabass(メガバス)もルアーをはじめとする釣具の有名メーカーです。

廉価品は買取不可or引き取りが吉

メーカーの知識と関連して注意したいのは、ディスカウントストアやホームセンター、ネット通販などで廉価で売られているノーブランド釣具です。

「竿とリールのセットで数千円」という価格帯のものもあるため、中古相場に置き換えるとほとんど値段がつかないばかりか、買い手もほとんどいません。

無料で引き取って数百円で販売するという選択肢もあります。しかし在庫管理の手間とリスクを考えると、最初から買取不可にするか、無料もしくは自治体によっては粗大ゴミの処分費用がいるため、その分の費用を負担してもらう形で引き取り、廃棄するのが賢明でしょう。

最初は手をかけすぎない

釣具と一口に言っても、海・池(湖)・川それぞれで使う竿もリールも、餌も仕掛けも全てが変わります。さらにその中でもどこで釣るのか、何を釣るのかによって、必要な釣具が細分化されていきます。

このような専門性の高い分野で、いきなり専門店並みのノウハウやサービスを提供しようとすれば、既存の取り扱い商材の仕入れや販売に支障が出る可能性があります。

基本的な知識をリサーチして身につけたうえで、まずはテスト的に取り扱いをスタートし、徐々にノウハウを蓄積していくことをおすすめします。

ただし、取り扱っていく中でジャンルを絞り込むのも、ピンポイントで客層にリーチできる効果的なやり方です。池の近くに実店舗があるならブラックバス・ヘラブナなどに適した池用釣具、海が近いのなら小魚や根魚などを狙える海用釣具、といった具合です。

まとめ

むやみやたらに取り扱い商材を拡大すると、在庫をコントロールしきれなくなり、中途半端な結果に終わりかねません。

しかし釣具であれば、現在進行形で業界が盛り上がってきており、かつ利益率や在庫管理のしやすさという点でも比較的高いパフォーマンスが期待できます。

競合となる専門店も多いため「始めればすぐに結果が出る」という類の商材ではありませんが、だからこそコツコツとノウハウを蓄積していけば、事業の柱の一つになってくれる可能性も十分あります。

新たな取り扱い商材として、一度検討してみてはいかがでしょうか。