このページでは、インターネットオークションとはどのようなものか、インターネットオークションサイトを運営するにはどのような資格がいるのか。また、知らず知らずの内に違法行為をしている場合があるので、その注意点なども分かりやすく解説していきます。Q&Aも記載していますので、参考にしてください。
インターネットオークションとは
引用:ヤフオク!https://auctions.yahoo.co.jp/
インターネットオークションを法律的に言うと、電子情報処理組織を使用する競りの方法です。簡単に言うと、ネットの中で行われるオークションです。代表的なのが、「ヤフオク」です。
インターネットオークションの売り手も様々でメーカーが在庫の処分に使ったり、古物商の方が古物を出品していたり、個人の方が自分で使っていたものを出品したり様々です。オークションと銘打っていますが、競りではなく「即決価格」と言うものが設定されている場合もあります。
インターネットオークションの買い手も様々で、個人で安く商品を手に入れたい方、古物商の許可を持ち商品を買って転売する方もいます。
インターネットオークションサイトには、それぞれの特性があり、買い手が手数料を負担する、売り手が手数料を負担する、手数料が無料などあります。また、規約もそれぞれのサイトで違いますので、利用時は規約を確認しましょう。
インターネットオークションサイトのサービスと類似のサービスでフリーマーケットアプリ(以下フリマアプリ)というものがあります。インターネットオークションサイトとの一番の違いは定額販売をしているかどうかです。インターネットオークションサイトが競りの方法で、値段が上がって行くのに対して、フリマアプリの場合は価格が基本的に固定されて販売されています。出品者と落札者の間で送料をどちらが負担するかなどの細かいやり取りはあるものの、基本的に商品の価格が決まっているのがフリマアプリの特徴です。
フリマアプリサイトを運営するには、後段に出てくる3号営業の許可は必要ありません。サイトによって手数料なども違ってくるのですが、フリマアプリは定額販売、インターネットオークションサイトは競りの方法によって価格が決まります。
即決価格とは何か?
ある商品のオークションを行いますが、売り手が設定した金額で落札すると買い手が表明するとその場でオークションが打ち切られ、買い手が決定する仕組みです。
インターネットオークション絡みで逮捕者も多数
インターネットオークションが絡んで逮捕される方が多数います。大きく分けて3つに分類できます。1つ目は古物商の無許可営業、2つ目は詐欺等、3つ目がいわゆるダフ屋行為です。売り手、買い手どちら側になるにしても注意が必要です。
無許可営業について
「せどり」「転売屋」など、耳にした事がある方も多いと思います。サラリーマンの副業などとして、テレビなどで紹介される事もあります。安く買って高く売るという商売の基本のような事をやるのは良いのですが、無許可で営利目的、反復継続して転売を行う事はできません。
詳しくはこちらのページをご参照ください
古物商を営むには
詐欺等について
インターネットオークションサイトに登録するためには、サイトによって違うのですが、メールアドレス、身分証明書、電話番号の登録等が必要です。しかし、黎明期においては、フリーのメールアドレスのみで登録する事が可能でした(一部インターネットオークションサイトでは現在も)。そのため、例えば「5万円でバックを売ります」とサイト内で売る意思を見せ、買い手が購入し先に代金を振り込んでも、商品が届かないという詐欺が横行しました。現在も少なくありません。
古物商に対しては売りに来た人の本人確認がほとんどの売却時について義務付けられていますが、オークションサイトの運営者は、その場を提供しているだけなので、売買を行う方の本人確認は義務付けられていません。この法律の穴を利用して、このような詐欺が横行しています。ネットオークション運営サイト側も盗品等が多数出品されてる事への懸念から、本人確認の強化をしているサイトも多くあります。
また、被害が少額の場合は被害者が被害届を警察に出すのが面倒だという理由で、警察でも実際の被害件数を把握出来ていません。転売のプロである古物商の方でも騙されないように、しっかりと取引相手の評判などを見て購入するようにしましょう。
ダフ屋行為について
チケットの転売についてですが、例えば「歌手のコンサートのチケット」を取れたが急な仕事が入ったために、泣く泣く転売した。このような場合は、問題ありません。しかし、営利目的で反復継続して行うには、古物商の許可が必要です。この行為は社会問題化しており、コンサートなどの入場時に購入者と入場者が同じであるかの顔認証システムを採用している所もあります。
また、古物商の許可を持っていても、コンサートのチケット等の販売者が転売禁止を明記しているのに、転売目的で購入したため、詐欺罪で逮捕されたケースもあります。
インターネットオークションは、大変便利で欲しい物が安く買える等の利点もありますが、上記のような売り手、買い手共に犯罪に巻き込まれる可能性がありますので、細心の注意が必要です。
インターネットオークションサイトを運営するためには
インターネットオークションサイトを運営する人や業者の事を古物競りあつせん業者と言います。この古物競りあつせん業を開始する前には、許可や届出の必要ありません。しかし、営業開始の日から2週間以内に営業の本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会に届出を出さないといけません。
届出に記載しないといけない事は、以下の4つです。
二 営業の本拠となる事務所その他の事務所の名称及び所在地
三 法人にあつては、その役員の氏名及び住所
四 第二条第二項第三号の競りの方法その他業務の実施の方法に関する事項で国家公安委員会規則で定めるもの。
古物商や古物市場主と違い、営業の開始後に公安委員会に届ける仕組みになっています。
この古物競りあつせん業の事を3号営業と言う事があります。
理由は、古物営業法の2条2項には「1号」、「2号」、「3号」の記載があります。
この古物競りあつせん業の説明が3号にあります。そのため、古物競りあつせん業の事を3号営業と言う事があります。
古物競りあつせん業者の遵守事項等
第二十一条の三 古物競りあつせん業者は、あつせんの相手方が売却しようとする古物について、盗品等の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。
第二十一条の四 古物競りあつせん業者は、古物の売買をしようとする者のあつせんを行つたときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、書面又は電磁的方法による記録の作成及び保存に努めなければならない。
上記の古物営業法の21条の3項のように「申告しなければならない」ものと21条の2項や4項のように「努めなければならない」と努力義務に留まるものがあります。
しかし、昨今の詐欺事件の多さを受け、古物競りあつせん業者自らが、法令で定められていない事まで(電話番号認証等)利用者にお願いしているケースがあります。インターネットオークションサイトを運営するためには、法令で定められた事だけではなく、利用者の安全な取引を確保する事が求められています。やはり、安全に取引ができないインターネットオークションサイトは、利用者から敬遠される傾向がありますので、ネットサーバシステムなどももちろんですが、安全な取引をするための工夫も必要です。
古物商の許可を持っており、自社のサーバーで自社の商品オークションを行う場合は古物競りあつせん業の届出は必要?
必要ありません。
古物競りあつせん業は、インターネットオークションの場所提供の資格です。古物競りあつせん業の届出は必要ありませんが、古物商自らが自社のサーバーでオークションを行うためには、公安委員会へ事前の届出が必要です。
古物商の許可を得てる者がインターネットオークションサイトに出品する場合は、特別な許可が必要?
必要ありません。
前のQ&Aにあるように、自社サイトでオークションを行う場合は届出が必要なのですが、古物競りあつせん業者が運営するインターネットオークション内で商品を販売する場合は、許可や届出は必要ありません。
まとめ
営業を開始の日から2週間以内に公安委員会に届出を出す
法令で定められている必要な確認と利用者のためになる確認は別
古物商がオークションサイトに出品する場合は許可や届出は不要
インターネットオークションサイトに関連する数字
インターネットオークションサイト大手のYahoo!JAPANが運営するインターネットオークションサイト「ヤフオク」は、開設して15年を以上の歴史を持ちます。2013年は約7500億円、2014年は約8100億円、2015年は約8600億円、2016年は約8900億円と年々取引額の上昇しています。また、サービス開始累計の落札総額は約8兆5000億円にのぼります。
野村総合研究所の発表によると、2012年度に10兆2000億円だった市場規模は18年度には20兆円を超える見通しとなっています。
要因としては、パソコン所持者だけではなく、スマートフォン所持者が手軽に利用できるインターネットオークションサイトアプリなどの増加です。インターネットオークションサイトの利用者数を伸ばすためには、スマートフォン向けのアプリの展開も視野に入れなければいけないのが現状でしょう。
インターネットオークションサイトの数字ではなくフリマアプリの数字です。2013年7月にサービスが開始された株式会社メルカリのフリマアプリの「メルカリ」ですが、同年の12月には100万ダウンロードを達成しました。2014年にはテレビCMを打ち同年末の12月には700万ダウンロードを達成しています。2015年の2月には1000万ダウンロードを達成し、2016年の12月には4000万ダウンロードを達成しています。ダウンロード者がすべて利用しているとは限りませんが、日本人の約3人に1人がダウンロードしている数字になります。1日の出品数が100万品を超えているとの発表もあります。この数字が物語っているように利用者に使いやすいサービスを開発すると、利用者が爆発的に増えます。使い勝手の良いサービス、利用者が使いやすいアプリ等の構築が必要です。
終わりに
インターネットオークションサイト運営者は、サイトの構築を行い売買を円滑に処理するのはもちろんの事。本人確認など利用者が安心して取引できる環境を整える事が求められます。法令で定められていないものでも、インターネットオークションサイト独自でのルールを決め、利用者に安心して取り引きしてもらう事を心掛けてサイト作りをしないといけません。大手のインターネットオークションサイト運営業者もこれらの対策を始めています。