買取

リサイクルショップの経営において、「買取」「仕入れ」は生命線です。なぜならどんなにお客様がお店に来店してくださっても、そこに売るべき商品がなければ売上にはならないからです。しかもリサイクルショップは新品を売るお店と違い、発注すれば商品が手に入るわけではありません。リユース品を持ち込んでもらってそれを買い取るか、リユース市場に出ている品物を自分で仕入れなければならないのです。

したがっていかに安定した買取・仕入れルートを確立するかが、リサイクルショップの経営が軌道に乗るか否かを左右するといっても過言ではありません。リサイクルショップを経営するなら、どこで買取・仕入れするのかだけでなく、どうやって安定的に買取・仕入れするのかも知っておく必要があります。

ここでは買取・仕入れルートの種類と、安定した買取・仕入れルートを確立するための方法を紹介します。来店されたお客様が買って帰りたい商品のあるお店になるための基本中の基本を知っておきましょう。

INDEX
  1. 買取・仕入れルートの種類を理解しよう
    1. 大本命の買取ルート「不用品回収業者」
    2. 自分の目で見てから買い取れる「消費者」
    3. 経験次第ではメリット大「古物市場」
    4. 修理ができれば強い味方に「ネットオークション」
    5. 業者との出会いが鍵になる「卸業者」
    6. 新古品大量仕入れのチャンスあり「メーカー・量販店」
    7. 場所を貸すだけで利益化「委託契約」
  2. 大本命「不用品回収業者」ルートを構築する方法
    1. 提携先を見つけて安定的な買取を実現する
    2. 自社で不用品回収業をスタートさせる
  3. 「不用品回収業者」「消費者」をメインに仕入れルートを確保しよう

買取・仕入れルートの種類を理解しよう

まずは買取・仕入れルートの種類を全部で7つ紹介するとともに、それぞれのメリットとデメリットについても解説します。「ルートの1つや2つは知っている」と言う人も、それ以外のルートがあることを知っておきましょう。理由は大きく2つあります。ひとつは買取・仕入れは多いほど良いので、ルートをたくさん知っておいて損はないからです。

もうひとつは1〜2種類のルートに頼っていると、たまたま買取・仕入れが減ったときにカバーできなくなるからです。7つのメリットとデメリットを理解して、状況に応じて使い分けるようにしましょう。

大本命の買取ルート「不用品回収業者」

不用品回収業者

最も安定的な買取ルートになり得るのが「不用品回収業者」です。リサイクルショップの前を通る不用品回収業者から買い取る方法以外に、自社で不用品回収業を始めてしまう方法もあります。また店頭の看板やウェブサイトに「不用品回収業者様のお持ち込み歓迎」といったPRをしておいて、それを見た持ち込みの業者から買い取るという選択肢もあります。

このルートのメリットは3つあります。ひとつ目は相手がビジネスとして不用品回収をしているため、比較的安定した買取ができる点です。例えば後で紹介する量販店の在庫処分品の大量仕入れだけに頼っていると、在庫処分品が出たときしか仕入れができません。安定した買取ができるということは、安定して在庫を持てるということです。買取・仕入れが生命線のリサイクルショップにとって、このメリットは非常に心強いといえます。

二つ目は業者自身が店舗までリユース品を運んでくれるという点です。例えば消費者への出張買取を行うには、運搬用のトラックと人手、そして効率的に買取を行うためのルート設定やスケジューリングが必要になります。不用品回収業者の力を借りれば、こうした設備投資と手間暇をすべて省くことができます。

三つ目は買取単価や取引実績次第では、「5年以内の洗濯機だけ」というような商品の指定もできるという点です。新品を売るお店とは違い、なかなか自店で「仕入れたい商品」を選べないリサイクルショップにとっては、このメリットもまた非常に心強いといえるでしょう。

リサイクルショップにとって大本命の買取ルートともいえる不用品回収業者ですが、デメリットもあります。まず「商品が汚れている場合が多い」という点です。商品が汚れていればそのぶん清掃が必要となり、店頭に出すまでのコストがかかります。

また汚れているとなると動作不良のリスクもあるわけですが、店頭では完全なチェックが難しいというのもデメリットです。大丈夫だと判断して買い取り、販売してみたものの、動作不良が原因でクレームになるケースもあります。

とはいえ前述の3つのメリットは、リサイクルショップにとって見逃せない魅力があります。デメリットのコストとリスクをいかに少なくするかが、このルートを利用する際のポイントです。

自分の目で見てから買い取れる「消費者」

不用品回収業者の次に有力な買取ルートが「消費者」です。看板やウェブサイトでのPR、チラシのポスティングなどで高価買取をアピールし、店頭に持ち込んでもらったリユース品を買い取ったり、電話やメールフォームなどからの問い合わせに応じて出張買取を行うのが一般的です。

このルート最大のメリットは「自分の目で見たものを査定できる」という点です。例えば後で紹介するインターネットオークションからの仕入れの場合、写真と文章でわかることが全てです。いざ仕入れて見たらとんでもない欠陥が見つかるという可能性は十分あります。

しかし消費者からの買取なら、持ち込みにせよ出張買取にせよ、きちんと確かめてから判断できます。また商材によっては業者のように定期的に状態の良い品物を持ち込んでくる消費者もいるので、そうした人に納得してもらえるような買取ができれば、安定的な買取も可能になります。

悩む

一方このルートのデメリットは「相手がプロではない」という点です。そのため以下のようなケースがしばしば起こります。

・古い家電や壊れた家電、売り物にならないほど汚れた家具も、文字通り「なんでも」買い取ってもらおうとする。
・フリマアプリ等による個人売買の影響を受けて、「このサイトでは○○円だからこの金額で買い取って」と高額な希望買取価格を提示してくる。
・「なんでも1円以上で買取」と宣伝している大手リサイクルショップなどの影響で、買取できない不用品の回収料金を伝えると「お金かかるの?」とトラブルになる

こうしたケースにならないように、事前に電話やメールなどで費用が必要になる場合があることを明示したり、買取担当の教育を事前に行っておく必要があります。

経験次第ではメリット大「古物市場」

古物市場は全国各地で開催されている、古物商が各々の在庫品を売買する場です。例えば大阪なら東淀川区の「新大阪道具市場」、摂津市の「北大阪オークション市場」、西区の「日本ブランドアドバンストオークション」などがあります。

参加のためには古物商許可が必須。市場によっての違いはあるものの多くの市場では入会金と参加費を支払い、落札したものの数十%を手数料として市場に支払う形態をとっているところが一般的です。

古物市場からの仕入れのメリットは、欲しいもの・実際にその目で見たものを仕入れられるという点です。またプロの古物商からの仕入れなので、消費者などからの買取や仕入れに比べて「実際は売り物にならない商品」が少ないのもメリットでしょう。

ただし多くの市場が競りの形式をとっているため、何度か経験を積みながら「この商品を仕入れるべきか」「仕入れるとしたらいくらまで出せるのか」を瞬時に判断して入札できるようになる必要があります。また参加する古物商同士に暗黙のパワーバランスのようなものもあるため、市場の雰囲気に慣れるとともに、顔を知ってもらう必要もあります

他にも競争相手次第では入札額が想定以上になる可能性がある点や、持ち帰りは基本的に自前でやる必要があるため、トラックなどの設備が必要になる点はデメリットです。

古物市場で安定的な仕入れをしようと思うのならば、長い目で見て少しずつ経験を積んでいくようにしましょう。

修理ができれば強い味方に「ネットオークション」

インターネット

「ヤフオク!」をはじめとするネットオークションも、リサイクルショップの仕入れルートとして活用できます。例えば「ヤフオク!」では家電やAV機器、カメラなどでカテゴリ分けがされているため、そこからリサイクルショップの在庫に欲しいカテゴリを選んで、出品されているオークションからめぼしいものを落札することになります。

この仕入れルートのメリットは、専門的な商材を修理できるリサイクルショップなら、ジャンク品を格安で仕入れて商品化できるという点です。ただし修理の専門知識と技術がなければ利益を確保するのは難しく、もしそれらがあっても修理の手間と時間がどうしてもかかってしまうというデメリットがあります。

サブの仕入れルートとしては候補になり得ますが、ここまで紹介してきたルートに比べるとメインの仕入れルートとしてはやや劣ると言わざるを得ません。

業者との出会いが鍵になる「卸業者」

古物の卸業者には、未使用品を大量に在庫している業者、海外買付け品を他業者に卸している業者などがいます。リサイクルショップもこうした卸業者を見つけてきて、自店に必要な商品を仕入れることができます。

しかしブランド品や腕時計などは別として、家電や家具をメインに取り扱うリサイクルショップの場合、卸業者を利用するメリットはあまり大きくありません。特にインターネット上で見つけられるような卸業者に関しては、卸業者のマージンが大きく、仕入れ値が高くて利益を確保しにくいのが現状です。

とはいえ商材によっては海外に買い付けに行く時間と労力、そしてお金を節約できるほか、リサイクルショップにも利益が出るような仕入れ値を設定する業者に出会えれば、十分仕入れルートとしては成立します。メインのルート開拓で余力があるのなら、サブのルートとして開拓しておいて損はありません。

新古品大量仕入れのチャンスあり「メーカー・量販店」

家電量販店

在庫処分品や、店頭でキズや汚れがついてしまったB級品を、メーカーや量販店と交渉するなどして仕入れる方法もあります。

メリットとしてはメーカーや量販店ならではの大量仕入れが可能だという点と、新品が格安で仕入れられるという点です。新品なので動作確認やメンテナンスの必要性も低く、即商品として店頭に出せるという魅力があります。

しかし新品だからといって良いことばかりではありません。そもそも在庫処分品やB級品というのは、「誰も欲しいと思わなかった商品」です。それをリサイクルショップで販売しても、売れない可能性は非常に高いのです。そのためメーカーや量販店から仕入れをする際は、「ほんとうに自分の店で売れるのか?」「売れるとすればいくらなら売れるのか?」「それで利益はでるか?」をよく考えなければなりません。

もちろん運が良ければ好条件の取引もあるので、このルートに関しては「常に準備をしておいて、ここだというときだけ利用する」というスタンスが正解といえるでしょう。

場所を貸すだけで利益化「委託契約」

最後に紹介するのが、「委託契約」というビジネス形態です。委託契約とは商品自体を仕入れず、一定期間商品を店舗やネットで販売して、売れればその分の手数料を受け取るというビジネスです。

この方法のメリットは契約によって在庫リスクをゼロにできる点です。というのも「一定期間内に商品が売れなければ引き上げてもらう」という契約をするところも多く、この契約をすれば委託を受けるお店自体は在庫を抱える心配がなくなるのです。

しかしリスクを負わないぶん、利益は大きくありません。そのため設備投資などをすると利益化に時間がかかりやすいというデメリットがあります。また商材によっては万引きなどで商品を紛失するリスクもゼロではありません。したがって「委託契約」は仕入れの選択肢としてあまり有力な候補にはならないでしょう。

大本命「不用品回収業者」ルートを構築する方法

続いて、リサイクルショップにとっての買取・仕入れの大本命「不用品回収業者」ルートを構築するための方法を解説します。

提携先を見つけて安定的な買取を実現する

提携契約

まず考えるべきは、既存の不用品回収業者と提携して、安定的に商品を供給してもらう方法です。「提携」といっても難しく考える必要はなく、基本的には契約書などを取り交す必要もありません。ただしそのぶん、買取金額や買取品目、査定を担当した従業員の態度などで、再度持ち込んでもらえるかどうかが決まります。

自社の利益を確保しつつ、最大限好印象を持ってもらえるよう従業員の教育などを徹底しておきましょう。

提携先を選ぶ際は大手の不用品回収業者よりも、比較的規模の小さい個人営業風な不用品回収業者を選びましょう。なぜなら大手は再販を自社でも行っている場合が多く、めぼしい商品はそちらのルートに優先的に流されているからです。一方で比較的規模の小さい業者は不用品回収だけで事業を行なっている場合が多いので仕入れがしやすく、かつフットワークが軽いので融通も効きやすいというメリットがあります。

また提携先は1社や2社に絞らず、できるだけ多くの業者と提携するようにしましょう。リサイクルショップが困るのは、多くの場合販売よりも仕入れです。仕入れ先を多く確保できるに越したことはありません。特に強化したい商品があれば「○○だったら他よりいい値段つけるので、良いものが入ったら持ってきてください」などと、具体的に提示しておくのもおすすめです。関係性によっては、優先的に持ち込んでくれるかもしれません。

ただし提携先との取引でも、商品の故障チェックは入念に行わなければなりません。それが双方にとって気持ちの良い取引をするための信頼関係を作るからです。

自社で不用品回収業をスタートさせる

軽トラックとスタッフ

次に選択肢に上るのは自前の不用品回収事業を始める方法です。この方法の最大のメリットは「お金をもらって回収したものに、価格をつけて売れる」という点です。「お金を払って仕入れたものに、価格をつけて売る」というプロセスを踏む提携先との取引に比べて、明らかに利益は大きくなります。ただしそのぶんリスクとコストも大きくなります。

まずは人件費。不用品回収業に携わる人員を補充しなければなりません。次に教育コスト。不用品回収業には廃棄物と有価物、どう見分けるべき?定義や判例から考えるボーダーラインなどで触れているように、一歩間違えれば違法行為をはたらいてしまうリスクがあります。そうしたリスクから会社と従業員を守るには、お客様への対応や回収できない物・再販できない物の扱いについてしっかりと教育しなければなりません。

さらに販促コストもかかります。特にウェブサイトを利用したマーケティングは必須です。例えば拡声器を積んだトラックで一日街中を回り、同時並行で街中にチラシをポスティングし続けても、ウェブサイトでの集客に成功している業者の売上には遠く及びません。実際ウェブサイトでのマーケティングを行わない業者には、廃業するところも少なくありません。インターネットで情報を収集するのが当たり前の時代において、ウェブサイトを有効活用できない業者は生き残れないのです。

以上の点から「自社で不用品回収業をスタートさせる」という選択肢は、ハイリスクハイコストハイリターンの道だといえるでしょう。しかしこれは資金面や人材面の基盤さえあれば、大きな利益を確保できるということでもあります。その意味では十分検討に値する選択肢といえるでしょう。

「不用品回収業者」「消費者」をメインに仕入れルートを確保しよう

経験や実績のないリサイクルショップが、まず検討するべき仕入れルートは「不用品回収業者」「消費者」です。これらをメインルートとしながら、商品の供給をさらに安定させるためにサブのルートを開拓するのが堅実な戦略となります。特に不用品回収業者のルートは安定性も高く、コスト面でも優れているため、優先的に開拓していきましょう。