こんにちは、ジェイリッツ運営事務局の渡辺です。

ジェイリッツ会員さまや、加盟を検討している事業者さまとお話している中でたびたび出てくる話題が「手数料ビジネスの納得いかない感じ」です。

そのなかのひとつに、皆さま異口同音に話すのが「予約手数料というだけで高いのに消費税まで引かれるんだよ。ひどいよね」という件。例を挙げると、以下のようなことだそうです。

1.予約サイトで2万円(税込)の案件が予約完了される
2.サービス提供者が業者から手数料20%+消費税を引く(-4320円)
3.残り15680円から消費税8%を国に納める(-1254円)
4.手元に残るのは14426円

※恐れ入りますが私自身、業者登録をしたことがなく正確でない可能性がございます

こうして整理して見てみると、税の二重取りなども無く、まっとうな請求ではあります。ですが感覚的にはだいぶ手元のお金が減っているように感じてしまいますね。なお、業者がサービス提供者に外税表示を要請しても「できない」の一点張りと聞いております。

あなたはどう思われますか?私は「なんか……業者いじめに近いんじゃない?」と感じました。

言うなれば、「仕事が無くなると下請け業者が干上がるのを分かっていて、値下げ要求をする自動車メーカー」みたいな……「うちのやり方が気に入らないならいつでも取引中止で構いませんが?」と言われているのに似た感覚というか、それほどに大手予約サイトの影響力は無視できないところまで来ていると思います。

このもやもやした気持ちは、プロにぶつけてみるのが一番ですよね。というわけで中小企業庁の消費税転嫁対策室 川西さま(TEL:03−3501−1502)に聞いてみました。

おことわり:これらは私の個人的な感想です。もちろんサービスを納得されて利用されている事業者さまもいらっしゃいます。ほとんどのサイトで掲載料無料というのも予約サイトの大きな魅力です。

業者に「内税表示」を強要しながら徴収手数料は「外税」?これは違法でないの?

内税表示と外税表示の混在は違法でないのか

渡辺:……という話がありまして、こういうのって消費税法違反などにならないのでしょうか?

川西:率直に言うと、なんらかの法律でもってメスを入れるのは難しいんじゃないかと思います。お聞きした内容では、業者さんが内税表示で掲載した価格に対して、サイト提供者が税の2重取りをしているわけではないからです。

渡辺:違法性はないということですね

川西:はい。「手数料20%に消費税8%を掛けて、さらに消費税8%を持っていくのか」といったところに納得のいかない感じを覚えるという気持ちもわかります。ただこういった契約ごとは自由の契約にあたりますので、我々や国が介入できる部分ではないかと思います。

契約の自由・・・当事者の自由な選択の結果であるかぎり裁判所などが契約に介入するべきではないという理念のこと(契約の自由の根拠となる民法第90条・91条

たとえ「サイトの表記は内税で、当社からの請求は外税にする」と契約書に明記していなかったとしても、消費税というのは当然に掛かってくるもので、事業を行う人ならそれが分かっているはずです。お互いが納得すれば契約は成立しますし、納得しなければ契約しないこともできるわけですからね。

値下げ圧力は「下請法違反」か?

業者と電話する予約サイトのオペレーター

渡辺:「納得しなければ契約しない」おっしゃる通りです。個人的には、この力加減が「下請けいじめみたいだなぁ」と感じることもあります。ほかにも予約サイトの担当者から電話で「あなたもトラック積み放題プランを用意しろ・もっと値段を安く」といった要請が来ると言ってました。そういうのって証拠をおさえたら「下請法違反」になるおそれはないのでしょうか?

川西:サービス提供者が下請法に違反しているという話もあまり考えられないです。たしかに「消費税が上がったのに増税ぶんを価格に反映するなと言われた」といった事実があれば下請法に違反していると指摘ができます。ほかにも「世間一般的な金額よりも明らかに安すぎる」という事実があれば何らかの法に違反している可能性というか、とりうる対策はあるのかなと思います。ですが、それも難しいでしょう。

渡辺:難しいのですね。「比較予約サイトに価格破壊が起きている」と、事業者が口を揃えています。

川西:不用品回収やエアコンクリーニングといったものは、ある程度の相場はあっても、固定価格がないから難しいです。お部屋の状況や、走行距離などによって業者ごとの金額が異なってきますから。不当価格であると客観的に証明できるエビデンス(証拠)があるかといわれると、難しい。

渡辺:それは、そうですね

川西:サービス提供者からの値下げ提案を飲むのも、「利幅が少ないけどお客さんがたくさん集まるから安くする」「宣伝的効果として安くする」など目的がありますよね。ある業者の価格がとても安いとしても、それは企業努力の結果かもしれません。

渡辺:確かにそうです。ただ「みんなやってるからあなたもやれ」という断りづらい状況がどうにも「下請けいじめ」にも似た構造だと思ってしまって……

川西:お気持ちはわかります。やはり繰り返しになりますが、嫌ならプラットフォーム(予約サイト)に参加しなければいいというのも事実なんです。業者からしても、お客様を広く集める場があるのはいいことですよね。サービス提供者だけが儲かって参加者の誰も儲かっていないというのであれば話は別ですが、それなりに顧客も紹介されているようですし問題とはならないでしょう。お答えになっていますでしょうか。

結論としては、現状すべて違法性なしとのことでした。

やはり「プラットフォーム提供」が正攻法

渡辺:いろいろと教えていただきありがとうございます。「この状況を打破したい」と考える人が集まって、異なるサービスを立ち上げることが王道のように思いました

川西:同じ意見を持った人が集まるというのは良いかもしれないです。一人だけだと弾かれてしまう意見も、集まって合理的な意見と世間に認められれば変わることもある。(結果として)過当競争を促進される形になるとお互い良くないとは思いますが……


最後に、この件をぜひとも共有させていただけないか聞いたところ「重要な問題なので万全な体制を敷いております」という言葉とともに快諾をいただきました。

こうして会員さまや専門家の方と話を重ねるうちに、ジェイリッツが業界に対して貢献できることは何かを深く考える機会に恵まれました。いまは事業者さんが過当競争に巻き込まれている時代です。まもなくサイト提供者(プラットフォーム提供者)の高止まりしている手数料もこれから競争に入るのでないかと思います。

ジェリイッツは設立から変わらず、加盟料のみでサービスを提供する方針を貫いております。新規顧客を獲得できる費用対効果を考えたとき、私たちのサービスによって事業者さまの売上に貢献できるとすれば、こんなに嬉しいことはございません。これからも私たちは走り続けます。