グローバル流通網

メルカリなどの台頭によるC to C取引の普及により、中小リサイクルショップは苦しい状況に立たされています。抱えている問題は事業者によってそれぞれではあるものの、今後課題になっていくのは従来の買取よりは販売になっていくと思われます。

なぜならC to Cサービスや大手リサイクルショップの浸透により、「自分のものを売る」という文化が定着してきている一方で、「中古品を買う」という層に関してはまだまだ開拓の余地があり、せっかく買い取ったものの適正な価格で販売できないというケースが増えているからです。

ではどうすれば中小リサイクルショップは販売力をアップさせられるのでしょうか。その解決策の一つがアメリカ発のインターネットオークションサービス「イーベイ」を使った海外販路の開拓です。ここでは海外における日本の中古品市場の現状を解説するとともに、イーベイではどのような商品が高値で取引されているのかを紹介します。

INDEX
  1. 世界で拡大しつつある「日本サブカル市場」
    1. 急成長する「越境EC」市場
    2. 「旅アト効果」で日本でも越境ECが活発化
  2. イーベイでは「サブカルアイテム」「腕時計・ブランドバッグ」が狙い目
  3. まとめ

世界で拡大しつつある「日本サブカル市場」

急成長する「越境EC」市場

海外販路開拓の選択肢として「イーベイ」への出店を検討するといっても、そこに日本の中古品の市場がなければ何の意味もありません。しかし日本ではまだ普及してはいないものの、個人が海外からインターネットを通じて商品を買う越境ECの市場は世界規模で急成長中です。

世界の越境EC市場規模

上表は経済産業省が発表している平成29年度版の「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)」に掲載されているグラフで、旅行やチケットの売り上げを除く、全世界のB to Cインターネット取引の売上高推計値と予測推計値(18年以降)を示したものです。その市場規模は2017年時点で5,300億ドルにまで増加しており、その傾向は今後も続く見通しです。

越境EC市場規模

また同じ資料によれば、アメリカや中国といった一大消費地の越境EC利用額は、2016年から2017年の間にアメリカで15.8%、中国で25.2%も増加しています。

しかもこうした越境EC利用者の購入先は、25%がAmazon、18%がイーベイと、2割近くをイーベイが占めているのです。Amazonは中古も扱っているものの、基本的には新品がメインの商材です。一方、イーベイはヤフオク!などと同じインターネットオークションサービスです。

「旅アト効果」で日本でも越境ECが活発化

スマホで日本の中古品を買うアメリカ人

海外から日本への越境ECが今後さらに加速する根拠としては、旅アト効果も無視できません。これは日本観光から自分の国に帰ったあと、日本製品に魅力を感じるようになった人がオンラインで商品を購入するようになるというものです。

日本政府観光局の発表によれば、2012年以降の訪日外客数は毎年のように伸び続けており、2012年から2015年で90.5%、2015年から2017年でさらに45.3%という驚異的な伸びを記録しています。政府は今後も観光産業に力を入れていくでしょうから、訪日外客数は今後も伸びていくはずです。

つまり旅アト効果による越境ECも今後増え続けるということです。これらを考え合わせると、イーベイが中小リサイクルショップの販路拡大の候補としていかに魅力的かがわかるのではないでしょうか。

イーベイでは「サブカルアイテム」「腕時計・ブランドバッグ」が狙い目

「もうヤフオク!には出店しているし、さらにイーベイに出店する必要性が感じられない」と考える人も多いかもしれませんが、販売力アップを目指すのであれば複数モール出店も戦略として検討する価値は十分あります。なぜなら国内ECとイーベイでは、高値がつく商品に大きな違いがあるからです。

レトロゲーム

特にその傾向が強いのは、レトロゲームやCD、アニメDVDやコミック、レコードといった日本のサブカルアイテムです。たとえば1991年に発売された家庭用ゲーム機「ネオジオ」の本体は、いまだにヤフオク!で3万円程度の値がつくこともある人気モデルですが、イーベイでは5万円程度で取引されています。希少価値の高いものになると、定価170円の週刊コミック誌が5万円になることさえあります。

腕時計

また腕時計やブランドバッグも、国内ECよりイーベイの方が高値がつきやすくなっています。腕時計ではSEIKO、CITIZEN、CASIOの製品が国内より高く売れる傾向があり、モデルによって差はあるものの、差額が数万円になるケースも少なくありません。ブランドバッグは全世界共通のようにも思えますが、日本の中古市場は他の国の市場に比べてコピー品が少ないため、安心して購入する人が多いようです。

このように同じ商品でも出品するサイトによって価格が大きく変わるため、複数のモールに出店した方が高値で販売しやすくなります。高値で売れることがわかれば高値で買い取れるようになりますから、買取力もアップするでしょう。結果として買取客と購入客と事業者の間に三方よしが実現するのです。

まとめ

日本の文化は海外に確実に浸透してきています。それと同時に、個人がイーベイなどのサービスを通じて海外の商品を購入する越境ECも、世界的に浸透してきています。そのため国内では数百円、数千円程度にしかならないものでも、ところ変われば数万円の値がつくケースも少なくありません。

イーベイによって拡大される販路をメインに据えるのは難しくとも、複数モール出店の候補としては十分なマーケットを確立しています。今後の中小リサイクルショップの活路として、イーベイを通じた海外販路開拓を検討してみてはいかがでしょうか。