3つの業者に共通する必要な産業廃棄物収集運搬許可
廃品回収に関する許可制度は、一般廃棄物回収運搬と産業廃棄物収集運搬の2種類が存在します。
廃棄物の回収には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(※)というものが制定されているため、無許可に廃品回収をすることはできません。
そのため、許可が必要なのですが、産業廃棄物収集運搬許可を取るには、各都道府県の講習を受け、新規であれば8万円ほどの料金を支払い、書類提出をする必要があります。
産業廃棄物収集運搬許可の有効期限は5年のため、長期に渡って仕事をする場合には更新・変更する必要があり、それぞれ7万円程度の料金が必要になります。
もしも、許可なく廃品回収を行ない、処理費用を徴収すると法律違反に当たるため、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はこれの併科が課されます。
産業廃棄物は、石炭殻や天然ゴムくず、コンクリートの破片などが当たります。また、法律上、家電小売店から収集の許可があれば一般廃棄物に分類されるエアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビの四種の廃棄物も回収することができます。
廃品回収、またそれに伴う運搬業を始めるのであれば、産業廃棄物収集運搬業は、チェックしておきたい許可です。
回収業には一般廃棄物収集運搬業の許可が必要
一般廃棄物とは、すべての一般家庭から出る廃棄物を指します。つまり、鼻をかんだちり紙等の可燃ゴミ、割れてしまった皿等の不燃ごみ、不要になったソファなどの粗大ごみから自動車やパソコンなど全てを指します。(細かくは各自治体の指示に従って下さい。)
ごみ収集や廃品回収を生業とするには、自治体から回収することへの許可を得なければいけません。
また、自治体がなかなか許可をしないため、一般廃棄物収集運搬の許可の取得は、かなり難しいとされています。
各自治体で出た廃棄物は、各自治体が管理しており、一般廃棄物に関しては自治体自身で処理する所がほとんどです。
廃棄物処理法によって、「各自治体が処理しきれず困難でない限り、許可は認められない」とされており、誰かに回収を頼む必要のない場合が多いからため、自治体が新規介入を許可してくれる可能性は低いのです。
そのため、自治体に相談し、駄目だと言われたら一般廃棄物回収運搬については、素直に諦めましょう。
一般廃棄物収集運搬優良業者になりたいなら法令遵守は絶対
一般廃棄物収集運搬業者の中には、「一般廃棄物収集運搬優良業者」というものが存在し、横浜市や京都市などがこの制度を採用しています。
一般廃棄物収集運搬優良業者とは、一般廃棄物収集運搬の許可を受けた上で、リサイクルの推進活動、環境配慮取り組み活動など本来の業務以外にも模範となる活動をしている業者のことを指します。
各自治体で認定基準は異なりますが、大抵のところは法令の遵守や事業の透明化などを基準としているようです。
一般廃棄物収集運搬優良業者になれば、数少ない一般廃棄物収集運搬業者の中でもネームバリューがつき、企業にとっても利用者にとっても相互に良い影響を与えることができます。
許可の下りている一般廃棄物収集運搬業者は是非、一般廃棄物収集運搬優良業者を目指してみてはいかがでしょうか。
中古販売業に必要な古物商の許可
リサイクルショップなどの中古販売業などには古物商の許可が必要となります。
申請を行う場所は、実際に販売を行う営業所の地域を管轄する警察署です。
注意しなければならないのは、店主の自宅と営業所が違う場合です。
この場合は、店主の自宅ではなく、営業所の地域を管轄する警察署に申請して下さい。
申請時に必要な書類は個人申請だと3種、法人申請であれば4種の指定された許可申請書となります。
個人で申請する場合には、それらに加え、住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書、略歴書、誓約書が必要とされます。
また、法人として申請をする場合は、上記のものに追加し、法人の登記事項証明書、法人の定款が必要になります。
古物商の許可申請書には、取り扱おうとする品物の種類を選ぶ項目があります。一度申請してしまうと、丸をつけなかった品目を扱うことはできませんので、自分がどの品物で商売をするかよく考え判断した後、丸を付けるようにしましょう。
2万円程度の手数料を払った後、40日ほどで古物商の許可が認められますが、犯罪歴があったり、一時的な貸店舗を営業所としたり、住所が定まらない場合は、許可が下りないため注意して下さい。
また、中古販売業は、許可によって商売が出来るという制度のため、中古販売行を辞めた、商業者が亡くなった場合は、許可を各県警に返納する義務があります。
もし、許可証を紛失してしまった場合でも返納届を出す必要があります。
許可証を紛失した場合は再交付が必要となるので、許可証をもらった警察署で手数料1300円と必要書類を提出してください。
フリーマーケットでは許可が必要ではない
ところで、フリーマーケット等で商品を販売している人たちは古物商を許可されているのでしょうか。
近年では、フリーマーケットアプリなどが人気を集めているため、中古品を出品することはかなり身近になっています。
しかし、フリーマーケットなどで商品を出品する人々は古物商の許可を持っていません。
古物商許可を必要とする中古品販売業は売るだけでなく、買い取りもするという場合のみです。
鉄スクラップ業には金属くず商許可が必要
鉄スクラップ業には、金属くず商許可という古物商から派生した許可が必要となります。
ほとんどの県の場合、古物商で取り扱うことができますが、北海道、茨城県、福井県、静岡県、長野県、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、以上の1道1府13県では、金属くず商許可が必要となります。
金属くずとは、長野県警のHPではこう定義されています。
- 正常な生産工程により生産された物で、その生産目的に従い売買、交換、加工又は使用されるもの
- 古物営業法に規定する古物
金属くず商許可も古物商と同様、各営業所の地域を管轄する警察署での許可が必要となりますので、届出をする際は8500円の手数料と各申請書類が必要となるため各県警のホームページから確認してください。
また、金属くず商の許可は、有効期限が設けられており、3年経つと効力を失うため、長期で仕事をする場合は更新が必要となり、一度の更新で1000円の更新料が掛かります。
古物商と同じように紛失した場合は、再交付を受ける必要があるため、700円で再交付してもらう必要があります。
かなり多くの制約が存在しますが、無許可で廃品回収等を行うと、法人の場合、1億円以下の罰金または逮捕に至ることがあり、中古販売業も無許可で行えば3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課されます。現に逮捕者も多く出ていますので、回収業、中古販売業などを始めようと考えている人は、必ず許可を取るようにしてください。