不用品

INDEX
  1. 「古物営業(古物商)許可」があれば不用品回収が可能
  2. 古物営業(古物商)許可は誰でも取得できるって本当?
    1. 古物営業(古物商)許可を取るための条件「欠格事由」とは?
    2. 必要書類を揃える前に、管轄警察に確認を
    3. 必要書類は申請者が法人・個人で違う
    4. 申請してから許可が出るまでは30日以上かかる
  3. 古物営業の遵守事項とは?守らないと許可が取り消しに
    1. 古物の買い取り場所に注意!「行商する」の届け出が必要なケース
    2. 許可を取らずに営業してはダメ!
  4. 買い取り業務で気をつけること〜トラブル防止のために
    1. 料金体系はわかりやすく
    2. 丁寧かつスピーディーな対応が大切

「古物営業(古物商)許可」があれば不用品回収が可能

本来不用品回収には、「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要なことが法令で定められていますが、新規取得はとても難しいのが現状です。では、一般廃棄物収集運搬業許可がない業者が不用品回収をすると違法になるのでしょうか?

様々な判例があり一概には言えないですが、不用品=廃棄物としてではなく、リユース・リサイクル目的で有価物として買い取る場合には、古物を扱うリサイクル業を営業するのに必要な「古物営業(古物商)許可」があれば買取可能です。
その場合、出張費や搬出費などの作業代金を買取金額から相殺させることとなります。

古物営業(古物商)許可は誰でも取得できるって本当?

古物営業(古物商)許可は、各都道府県の公安委員会に申請します。しかし、実際に申請書類を提出するのは、営業する店舗の所在地管轄の警察署にある生活安全課になります。
他の都道府県にも店舗を構える場合は、それぞれの公安委員会の許可が必要なので、それぞれの店舗の管轄の警察署で手続きをしなくてはなりません。

古物営業(古物商)許可は申請さえすれば誰でも簡単に取得できる、とも言われているようですが、実際は取得できないというケースもあるようです。では、いかにスムーズに古物営業(古物商)許可をとるにはどうしたらいいでしょう?

古物営業(古物商)許可を取るための条件「欠格事由」とは?

まず、古物営業(古物商)許可を取るためには、許可を取る人(法人の場合は各役員全員)が許可取得の要件を全てクリアしている必要があります。

欠格事由といって、これに該当する場合は申請しても許可されません。法人では各役員のうち誰か一人でも該当する場合は、その人を役員から外さない限り許可されません。

  1. 成年被後見人・被保佐人・破産者で未だ復権していない者
  2. 禁錮以上の刑、もしくは特定の犯罪(背任、遺失物横領、盗品等に関する罪)により罰金刑に処せられてから5年経過していない者
  3. 住居の定まらない者
  4. 古物営業許可を取り消されてから5年経過しない者
  5. 許可取り消しの長文期日前一定期間に許可書を返納し、返納日から5年経過していない者
  6. 営業について成年者と同一の能力を持たない未成年者
  7. 営業所や古物市場ごとに管理者を専任すると認められないことについて、相当な理由がある者
  8. 法人の役員が上記に該当する場合

許可をもらえた後でも欠格事由に該当することになった場合は、許可が取り消されるケースもありますから注意しましょう。

必要書類を揃える前に、管轄警察に確認を

自分が申請すべき管轄の警察署に、電話で予約をしましょう。いきなり警察署へ赴いても担当者に会えないことがあるからです。

古物商許可申請書類一式は、インターネットでダウンロードも可能ですが、ケースバイケースで変更されることも多いため、書類作成前に警察署で相談したほうが良いでしょう。
また、書類を作成したら、申請する前に警察署に内容を確認してもらうことをおすすめします。こちらも電話で事前相談したいと伝え、予約しましょう。

修正すべき箇所に気付かないまま申請してしまっては、結局受理されずに許可審査料19,000円だけを払うことになってしまうからです(一度申請すると、許可がもらえなくても審査料は戻ってきません)。

複数の都道府県で許可が必要だったり、自分で警察署へ何度も足を運ぶのが難しい場合は、許可取得の代行を請け負っている行政書士事務所などを利用する手段もあります。しかし、こちらを利用する場合は数万円単位で費用がかかるケースが多いです。

必要書類は申請者が法人・個人で違う

警察署でもらう「古物商許可申請一式」の他には、主に以下のような書類が必要になります。ただし、先ほども説明したとおりケースバイケースで変動することも珍しくありません。書類ごとに必要部数が違うなど、細かい決まりごとについては、必ず手続前に管轄警察署で確認しましょう。

法人の場合 個人の場合
古物商許可申請一式
監査役以上の役員全員と営業所管理者のもの 本人と営業所管理者のもの
・略歴書
・住民票の写し(本籍地記載)
・誓約書
・登記されていないことの証明書
・身分証明書
・営業所の賃貸借契約書のコピー(店舗が賃貸の場合)
・URL使用権限疎明資料(HPで古物売買する場合)
・略歴書
・住民票の写し(本籍地記載)
・誓約書
・登記されていないことの証明書
・身分証明書
・営業所の賃貸借契約書のコピー(店舗が賃貸の場合)
・URL使用権限疎明資料(HPで古物売買する場合)
登記簿謄本
登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
定款のコピー(目的欄に古物の売買に関する記載がある)
  1. 「住民票の写し」はコピーではありません。役所での発行から3ヶ月以内のものです。
  2. 「身分証明書」は本籍地役所で出してもらう書類のことです(禁治産者・準禁治産者・破産者などではないという証明)。運転免許証などではありません。
  3. 「登記されていないことの証明書」は、法務局本局の戸籍課窓口で取得できます。法務局出張所では取得できません。
  4. 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)は法務局で入手可能です。
  5. 定款はコピー可ですが、末尾またはページの裏に朱書きして押印する必要があります。

申請してから許可が出るまでは30日以上かかる

古物営業許可を申請してから許可が下りるまでは、30〜60日ほどかかる場合が一般的です。また、審査途中で手続きが保留状態になることもあるようです。あまりに日数がかかるような場合は、警察署の担当者に問い合わせたほうがいいケースもあるでしょう。

古物営業の遵守事項とは?守らないと許可が取り消しに

無事に許可が取れても、以下のような遵守事項を守らないと許可が取り消されてしまいますから、気を付けてください。

  1. 営業所や店舗の見やすい場所に、国家公安委員会規則で決められた様式の標識を掲示する
  2. 営業所・店舗や古物市場毎に責任者として管理者1人を選任する。取り扱う古物が不正品かどうか判断するための知識や技術・経験をもたせるよう努力する。
  3. 古物の買い取り、交換などをする場合、必ず相手の身分証明を確認する。(ネット上などでは電子署名などを利用)
  4. 買い取り品が不正品の疑いがあると認める時は、警察官に申告すること。(盗品・遺失物の疑いがある場合は一定期間差し止めになるケースも)
  5. 古物の売買の際には、取引年月日、品目と数量、特徴、相手方の住所氏名・職業年齢及び特徴など取引の記録をしなくてはならない。また3年間は保存義務がある。
  6. 引き続き6ヶ月以上営業しない場合は、許可を返納すること。

古物の買い取り場所に注意!「行商する」の届け出が必要なケース

遵守事項以外で特に気をつけることは、「買い取り場所」です。古物営業(古物商)許可を持っていても、どこでも買い取りができるわけではありません。
出張買い取りを行ったり、古物市場で古物を仕入れる場合には、許可申請の際に「行商する」の届け出が必要です。

以下の表で(行商する)とあるものは、届け出が必要なケースになります。

場 所 買い取り 販 売
自店舗
相手方の住所・居所 ○(行商する) ○(行商する)
古物市場 ○(行商する) ○(行商する)
催事場など × ○(行商する)

「行商する」と届け出ても、同じ古物商許可を持っている相手以外(一般の人)相手に買い取りできるのは、自分の店舗か相手方の住所・居所に限定されます。古物市場のように古物商許可を持っている同士による売買の場合は、行商の届け出があれば問題ありません。
違反すると営業許可を取り消される可能性もあるので注意が必要です。

また、出張買い取りの際には古物商本人であれば許可証、従業員の場合は「行商従業者証」の携帯が義務付けられているので、気を付けましょう。行商従業者証は様式が決まっているので、管轄警察署に確認してください。

買い取りできる?できない?わかりにくいケース
行商の届け出をしても買い取りができないケースについてご説明しました。ここからは、意外とよくある買い取り可能かどうかわかりづらいケースについても解説します。

ケース 買い取りできる?
A県公安委員会許可の古物商許可証(行商)で、B県の相手方住所・居所で出張買い取り ○(※1)
A県公安委員会許可の古物商許可証(行商)を持って、B県の自社店舗で一般客から買い取り ×(※2)
Cさん自宅に出張買い取りの際に、その知人であるDさんの古物もその場で買い取り ×(※3)
E社に出張買い取りの際に、E社従業員Fさんの個人所有物を買い取り ×(※4)

それぞれの理由は、以下のとおりです。

  1. ※1は、買い取り先が相手の住所・居所なので、例えB県の古物商許可がなくても行商の届け出があれば買い取りができます。
  2. ※2は、A県の許可(行商する)を持っていても、買い取る場所がB県の店舗なので、B県の許可を持っていないと買い取りはできません。
  3. ※3は、Cさんは自宅なので買い取りができるが、Dさんの古物はDさんの住所・居所(自宅)でないと買い取りができません。
  4. ※4は、E社の所在地はFさんの住所・居所ではないので、Fさんの私物は買い取りができません。Fさんの私物が買い取れるのは、Fさんの住所・居所もしくはリサイクル業者の店舗のみです。

許可を取らずに営業してはダメ!

古物営業(古物商)許可を取らないまま不用品・中古品の買い取りをしている場合は、無許可営業とみなされて、古物営業許可の申請が5年間できなくなってしまいます。もし無許可で買い取りをしている場合は、すぐにストップして警察に相談後、申請手続きをしましょう。

買い取り業務で気をつけること〜トラブル防止のために

買い取り業務

インターネット上には、不用品をリサイクル業者に引き取り依頼した際のトラブルや注意点に関する情報が多く見られます。では、リサイクル業者側が気をつけるべきことは何でしょうか?
既に実施されている業者さんがほとんどかと思いますが、念のため確認してみましょう。

料金体系はわかりやすく

やはり何と言ってもお客様が納得してから買い取ることが重要です。

一番多いトラブルは、料金に関するものです。買い取りできるもの・できないものを必ず説明し、それぞれの買い取り価格を提示しましょう。その結果、お客様が納得されてから買い取り金額を渡し、品物を積み込みましょう。

買い取り価格がすぐに判断つかないもの等で、一旦店舗に持ち帰り後日連絡する場合は、必ず預かり証などを渡しいつごろまでに連絡できるか伝えましょう。

丁寧かつスピーディーな対応が大切

不用品をリサイクルしたい、と考える人は転居など時間に迫られているケースもあります。できるだけスピーディーに、かつ丁寧な対応が必要となるでしょう。

法令をしっかり守って古物営業(古物商)の許可を取り、遵守事項を守りつつ、お客様にはスピーディーかつ丁寧な対応をすることがなによりも大切です。
古物商の許可について、古物商を営むにはでより詳しく解説しています。
ぜひご参考ください。