このページでは、古物商とは何か、古物商を営むためにはどのような申請が必要かを分かりやすく解説していきます。古物商の数などの数字も表示していますので、参考にしてください。

INDEX
  1. 古物営業とは
    1. 古物商を営むためには
    2. 古物営業の種類
  2. 古物営業をはじめる流れ
    1. 公安委員会の許可を取得
    2. 許可の取得方法について
    3. 許可の更新について
    4. 廃業時の手続き
    5. 古物商の許可が不要で行える売買
  3. 古物商の仕事
    1. 古物とは
    2. 売買できるものとできないもの
  4. 古物商に関する市場情報
    1. 古物商業界の規模は?
    2. 新品と中古品の市場規模の動向
    3. 古物商と海外取引
    4. 古物商の数
  5. 終わりに

古物営業とは

古物商を営むためには

古物商を営むためには、各種の許可や届出が必要です

  • 古物を買い取って売る→古物商の許可
  • 古物商の間で古物の売買するための市場を主催する→古物市場主の許可
  • オークションサイトを運営する→古物競りあっせん業の届出

このように、一言で古物商を営むと言っても、取引の形態などによって、許可や届出の種類が違います

古物営業の種類

古物商としての営業形態には法律上3つの種類があります。

1号営業

リサイクルショップ1号営業とは、古物を買い取って売るという営業形態です。
リサイクルショップ
金券ショップ
古美術品販売業者
中古オートバイ販売業者
よく目にするこれらの業種は、古物商(1号営業)に該当します。
この1号営業の許可を取って営業している人や業者の事を「古物商」といいます。

2号営業

中古自動車オークション2号営業とは、一般人が参加できるフリーマーケットとは違い、専門業者である古物商業者だけが参加する競り場や交換場を開催する営業形態を指します。
具体的には、中古自動車販売業者(1号営業=古物商)だけが参加する中古自動車オークションなどです。
この2号営業の許可を取って営業している人や業者の事を「古物市場主」といいます。

3号営業

インターネットオークション3号営業とは、ヤフオク!(旧Yahoo!オークション)などのインターネットオークションを運営して収益を得る営業形態です。
業者対業者の営業活動である2号営業に対し、この3号営業は個人対個人や個人対業者、業者対業者と、すべての人が参加できるインターネット上での売買の場を提供する営業形態を指します。
この3号営業をしている人や業者の事を「古物競りあっせん業者」といいます。

まとめ

古物商(1号営業)→自社で買い取り、そのまま売買、修理・加工して売買する人・業者。
古物市場主(2号営業)→業者同士の市場を開催する人・業者。
古物競りあっせん業者(3号営業)→オークションサイトを運営する人・業者。

古物営業をはじめる流れ

各都道府県の警察署

公安委員会の許可を取得

まず、古物営業に必要な許可を、都道府県の公安委員会から取得します。
届け出は、営業所などがある都道府県の警察署で行えます。手続きで分からないことも聞けば教えてくれます。

営業種ごとの詳しい説明は以下の通りです。

1号営業許可(古物商)

1号営業を行う場合は、営業所や住所又は居所が所在する都道府県の公安委員会の許可が必要です。
参考情報:大阪府警察

「都道府県の公安委員会ってどこ?」
と思われた方もいるかもしれませんが、ほとんどの場合は営業所や住所又は居所の所在地を管轄する警察署の生活安全課保安係が窓口です。
この窓口の呼び方は都道府県によって違います。東京都の場合は防犯係、大阪府寝屋川市の場合は生活安全課保安係です。

例えば大阪府寝屋川市で1号営業を行う場合は、寝屋川警察署の生活安全課保安係に申請を行います。
手数料は19000円です。
申請時に警察署会計係窓口で都道府県証紙を購入し、納付します。
なお、一度納付した手数料は、不許可となった場合・申請を取り下げた場合でも、返却されません

欠格要件に該当する場合は許可を取ることはできません。古物商許可を取得できない方の記事であらかじめしっかり確認しておきましょう。

申請から概ね40日以内に、申請場所の警察署から許可・不許可の連絡があります。

最長で40日程度かかるので、4月1日から古物商を始めようと思ったら、前もって2月の中旬ごろには申請をしなければなりません

2号営業許可(古物市場主)

1号営業とほとんど同じです。手数料は19000円で同額です。
手数料も含め、1号営業とほとんど同じです。
ただし、こちらは申請から概ね50日以内に、申請場所の警察署から許可・不許可の連絡があります。

最長で50日程度かかるので、4月1日から古物市場主を始めようと思ったら、前もって2月の頭ごろには申請をしなければなりません。

3号営業届出(古物競りあっせん業者)

こちらは1号営業、2号営業と違い許可は必要ありません。しかし「届出」は必要です。

オークションサイトを開いてから2週間以内に営業の本拠となる事務所(事務所のない方は、住所又か居所)の所在地を管轄する警察署生活安全課保安係に届出を行います。
参考情報:大阪府警察

開始後に届出をする理由は、運用されている実態を確認するといった意味合いがあると考えられます。

許可とは違ってこの届出には手数料がかかりませんが、怠った場合には20万円以下の罰金刑に処せられる可能性がありますので必ず届出を出しましょう。
オークションサイトを開いたらすぐに申請できるように、事前に届出の方法を確認して書類を作成しておき、サイト開設後すぐに申請するようにしましょう。

ちなみに他の営業形態と同様、3号営業許可の窓口の呼び方は都道府県によって違います。東京都の場合は防犯係が窓口です。

まとめ

古物商(1号営業)→警察署に申請し許可を貰う。許可・不許可の連絡まで40日程度かかる。手数料19000円。
古物市場主(2号営業)→警察署に申請し許可を貰う。許可・不許可の連絡まで50日程度かかる。手数料19000円。
古物競りあっせん業者(3号営業)→サイト運営を開始してから2週間以内に警察署に届出。手数料無料。

許可の取得方法について

行政書士などに委託する場合

行政書士事務所に依頼しての古物商や古物市場主などの許可取得行政書士事務所のサイトを見ると、3万円程度で申請書類を作成してくれるところが多いようです。書類作成だけでなく、警察署に申請まで依頼すると5万円程度になります。
行政書士事務所によっては、「申請はご自身でお願いします。当事務所は申請書類作成までしか行いません。」という行政書士事務所もあります。そのため、書類を作成して欲しいだけなのか、警察署への申請までして欲しいかを考えて、行政書士事務所等を選びましょう。

 ご自身で行なう場合

古物商や古物市場主の個人での許可取得古物商や古物市場主などの許可は自分で手続きをすることも可能です。
といってもそれほど複雑で難しいものではありません。当サイトを参考にすれば、十分自分でできるはずです。

許可の更新について

古物営業の許可は有効期限がないため、更新の必要はありません

しかし、営業所や住所又は居所の所在地が変更になった場合などは届出を行う必要があります
また、2号店を出す場合にも許可が必要です。これは同じ警察の管轄下でも同じです。
例えば、マンションの101号室で営業をしていたが、事業拡大のために、102号室も賃貸する場合は、そこでも営業する場合は許可を求めないといけません。
この他にも法人営業していて、代表者の変更等があった場合にも変更の手続きが必要です

一方で、許可の取り消しという制度はあります。
例えば、古物商を営業しようと思って許可は取ったものの6ヶ月以内に営業を開始しなかった場合などは許可が取り消されてしまいます
また、6ヶ月以上に渡って営業を営まない、つまりお店を6ヶ月以上閉め続けると許可が取り消されてしまう事があります
詳しくは古物商の許可は取り消される事があるをご参照ください。

廃業時の手続き

許可の更新についてで書いたように許可等を受けた後は、更新をする必要がありません。しかし、廃業する場合などには、公安委員会からもらった許可証の返納等をしなければなりません。この返納を怠ると10万円以下の罰金に処せられる可能性がありますので注意しましょう。また、死亡した場合同居の親族又は法定代理人にこの許可証の返納の義務が発生しますので、万が一の場合に備え、そのことを伝えておきましょう。

古物商の許可が不要で行える売買

古物商の許可が不要で行える売買
ここまでビジネスとして古物商を営む場合に必要な手続きについて解説してきました。しかしわざわざ許可や届出をする必要がない場合もあります。以下ではそのようなケースについて解説します。

自分のものをオークションサイトで売る場合

例えば、自分が使っていたジーンズやTシャツが不要になったので、ヤフオク!等のオークションサイトに出品する際には、古物商の許可は必要ありません。

ただし、大量に商品を出品をしていたり高額な利益を得たりしている時には、古物商の許可が必要な場合があります。経済産業省は、平成18年1月31日に以下の通達を出しました。以下の表の古物の販売行為は、営業と考えられています。

販売業にあたると考えられる場合の図
販売業にあたると考えられる場合の図

この表のような古物を売っていると営業とみなされ古物商の許可が必要になります。また「ギリギリの範囲でセーフ」と判断していても、解釈によっては古物営業法の無許可営業の罪になってしまう可能性があります。

自分で判断せず、上記の表に当てはまるような古物の販売については、古物営業の許可を取っておいた方が無難でしょう。

無償または手数料を取って取得したものを売る場合

無償または処分代等手数料を取って回収したものを売る場合も、古物商の許可は必要ありません。
例えば一般家庭を訪問して、無償または処分代金として手数料を取って回収した家具や家電を販売する場合は、古物商の許可は不要です。
ただしその場合、一般廃棄物収集運搬などの許可を得ない場合は、処分代金として手数料を取る行為が犯罪になる可能性がありますので注意しましょう。

海外で買った物を売る場合

海外まで行って買った商品を売る場合は、古物商の許可の必要はありません。
例えば、ハワイまで行って、大量にアロハシャツを購入してそれを売る場合は古物商の許可は不要です。

ただし、国内にいながら電話やネット等で海外の商品を購入し、それを売る場合は古物商の許可が必要になると判断されるケースもあります。このような判断が警察によってなされた場合、古物営業法の無許可営業になりますので、輸入品を売る場合も念のため、古物商の許可を取っておいた方が無難でしょう。

フリーマーケットやバザーで許可が必要な場合、不要な場合

フリーマーケット
最後に、混乱しやすいフリーマーケットやバザーでの許可の必要性について、Q&A方式で解説していきます。

A子ちゃんとB男君と一緒にフリーマーケットで、自分達が不要になったものを出店したいんだけど古物商の許可は必要?

このような場合は、古物商の許可は必要ありません。
ただし毎週のように出店し、多くの利益を出した場合は、反復継続して営利目的で出店しいてると判断され、古物商の許可が必要になる場合があります。

町内会長Cさんが町内会の人から無償で集めたものをフリーマーケットで売り、動物愛護団体に寄付したいんだけど古物商の許可は必要?

このような場合も、古物商の許可は必要ありません。
古物商の許可が必要なのは、営利目的の場合です。そのためこのような非営利目的の場合は、古物商の許可は不要です。

転売目的で人やお店から中古品を購入し、市主催のバザーに出店する場合は、古物商の許可は必要?

このような場合は、古物商の許可が必要です。
ただし、「中古品を自分で使う目的で買ったが気が変わって使わずに売る」という場合や、「中古品を使用した後に売る」といった場合は古物商の許可は必要ありません。

重要なのは「目的」です。
転売目的での購入=営利目的ですが、自分で使うための購入は営利目的になりません。古物商の許可が必要なのは、営利目的でのバザー等の利用です。

古本を例に出して説明すると以下の通りです。

・古本を転売目的で購入し、フリーマーケットで売る→古物商の許可が必要
・古本を自分で読むために購入し、読後にフリーマーケットで売る場合→古物商の許可は不要

ただし、何度も読後の古本を大量に販売していると反復継続し営利目的で出店してると判断され、古物商の無許可営業になってしまう場合があります。大量に購入した中古品を使用後に売る場合は、念のため古物商の許可を取っておいたほうがいいでしょう。

自分の土地でフリーマーケットを主催し、出店料を稼ぎたいけど、古物商の許可って要るの?

このような場合は、古物商の許可は必要ありません。
自分の土地を誰に貸すのも自由です。これは自己所有の土地だけではなく、賃貸している土地でも同じです。しかし賃貸している土地を使う場合は大家さんと事前に相談したほうがいいでしょう。
ただし、自分も開催にあわせて反復継続して営利目的で出店する場合は、古物商の許可が必要です。

県や市町村の公園を借りて、バザーを主催したいが、古物商の許可って要るの?

このような場合は、古物商の許可は必要ありません。
ただし、県や市町村によっては貸し出すときの条件が細かく設定されている場合があります。県や市町村との確認、出店する人との確認をしっかりしましょう。これを怠ると条例や法律に抵触するなど、主催者が責任を取らされる場合もあるので注意しましょう。
また、民間企業等の土地や建物、屋上などを賃貸する場合も、民間企業等との打ち合わせが重要です。

まとめ

  • 自分のものを販売するのは基本的に大丈夫
  • 無償や手数料を取って取得したものを販売するのは大丈夫
  • 古物営業の許可を取らずに販売するには制限があり、超える場合は古物商の許可が必要

不明確なら自己判断せず、念のため許可を取っておいた方が無難です。

古物商の仕事

リサイクル家電

古物とは

古物と聞くと、骨董品や壺、絵画などを思い浮かべる人もいると思います。
しかし、身近なものも実は古物なのです。

1度でも使用したもの。

例えば、「使い古したカバン」これも古物です。
「読み終わった本」も古物ですし、「古くなったスマートフォン」も古物です。

1度も使用してないが使用するために取引されたもの。

1度も使ってない商品でも古物になってしまいます。
例えば、「行こうと思って買ったコンサートのチケット」も古物です。購入したが使ってない「靴」なども古物です。つまり使おうと思って買ったが、使ってないものは古物になります。

上記2つを修理・加工したもの。

例えば、「中古バイク」を引き取り、修理して販売する場合も古物です。「プラモデル」を買ってきて、組み立てて売る、このようなのも古物です。

売買できるものとできないもの

古物商が売買できるのは物品だけです。
古物とはを読むとほとんどのものを売買・交換できるのではないかと思われた方もいるかと思います。
しかし土地や家は古物商が売買できません。土地の販売を事業として行うには、都道府県知事の免許が必要なので、古物商の許可では売買することができないのです。土地や家は物品と考えられていないからです。

しかし例えば家を解体し使える柱が出てきた場合、この柱は不動産ではなく物品と考えられるので、売買できるようになります。つまり、不動産は売買できませんが、動産は売買できるということです。

しかし、例外的に動産でも売買できないものがあります。それは物理的に大きな航空機、鉄道車両、20トンを超える船舶などです。これらは物品として分類されていないため、古物商は売買できません。

古物商に関する市場情報

古書

古物商業界の規模は?

  • 2012年 1兆3594億円
  • 2013年 1兆4916億円
  • 2014年 1兆5966億円
  • 2015年 1兆6517億円

8.0%→9.7%→7.0%→3.5と伸び率は鈍化していますが、成長を続けている業界です。

2014年と2015年のデータの比較からは、以下のような分析が可能です。

  • 店舗での売上高が減り、ネットでの売上高が増えている。
    • →ネットを活用した業者が台頭してきていることがわかります。
  • 個人間取引(CtoC)が増えてきている。
    • →フリマアプリ、フリマサイトの発達により、この傾向はこれからも続くと予想できます。今後古物商はサービスレベルの向上などにより、競合古物商だけでなく、個人とも戦っていく必要があります。

新品と中古品の市場規模の動向

ブランド品

  • 新品の売上高は2兆3664億円
  • 古物の売上高が2397億円
    • →新品の売上高に対して、約10%の比率。

ゲーム・メディア

  • 新品の売上高は7718億円
  • 古物の売上高が1070億円
    • →新品の売上高に対して、約13%もの比率。長引くデフレの影響もあると考えられますが、中古品、古物でも安ければ構わないという層が確実にいることが数字に表れています。

他方、衣料品・服飾雑貨は、新品の売上高に対しての比率が1.6%と低いのですが、市場規模は1500億円を超えていますので、市場規模と中古品・古物でも構わないという層のバランスを考慮する必要があります。

古物商と海外取引

古物の海外輸出も2014年には975億円、2015年には1084億円と1000億超の市場になりました。
東南アジアでは液晶テレビなどの白物家電が人気です。中東ではストーブや自転車、アフリカではママチャリやマウンテンバイクなどの自転車。南米向けには電動工具やゲーム、音楽機器などが多く輸出されており、本来の古物商の役割である、次の利用者への橋渡しができています。
国内市場だけではなく、海外市場も見渡してみると、新しい販路が見出せる可能性があります。

古物商の数

許可された古物事業者(所)数は2006年には約64.1万事業者でしたが、2015年には約76.5万事業者にまで増えています。
2014年と2015年を比較しても、3000事業者増えています。廃業時の手続きで触れたように、許可証の返納の手続きを完了していない業者の数も含まれている可能性があります。個人で古物商の許可を取ったが一度も取引せず、許可証の返納を行っていない方も多数いると考えられます。そのためこれよりもっと多くの事業者が、古物商業に参入しているはずです。
少なくとも1年間で3000事業者が新しく許可の申請をしていることを考えると、業界の未来は明るいといえるでしょう。

一方、古物市場主の許可数は2006年に1613事業者、2015年には1587事業者と、微増微減を繰り返しています。

他方、古物商と近い職種である質屋は、減少傾向が続いています。2006年に全国には3730業者が2015年には、3034業者まで年々減少しています。
大量生産、大量消費の時代を迎えて、質入れをして、お金を借りるといった商売の必要性が希薄になってきたのかもしれません。

終わりに

このページをまとめるにあたり、警察署のホームページ、市役所のホームページ、古物営業法などの関連法令も再確認致しました。古物商に関する市場情報などは、年々変化しており、注視が必要な数字です。
また、古物営業を営むためには、法令や行政指導だけではなく、時代の流れ、必要とされるものを掴む必要があると感じました。
このページの情報が、皆様がこれから営む古物商という仕事の一助になれば幸いです。