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2018年4月25日に公布された改正古物営業法が、いよいよ2018年10月24日から施行されます。古物営業許可はリサイクルショップはもちろん、不用品回収業で法令に基づいた営業をするには?許可申請を徹底解説!でも触れているように不用品回収業者にも必要不可欠な許可です。今回の古物営業法の改正には、この許可に関わる変更も含まれています。そのため改正内容をしっかりと理解したうえで、必要な対策を取る必要があります。

ここでは今回改正される内容のうち、不用品回収業者やリサイクルショップに影響のある4つのルールと、対応しなければ許可の取り消しにもつながる重要なポイントについて解説します。

INDEX

改正古物営業法で変わる4つのルール

2018年4月25日に公布された改正古物営業法で加えられた変更は全部で4つ。すなわち営業制限の見直し、簡易取消しの新設、欠格事由の追加、許可単位の見直しです。これらのうち営業制限の見直し、簡易取消しの新設、欠格事由の追加は2018年10月24日に施行されますが、4つ目の許可単位の見直しについては、2018年10月現在で2020年4月ごろの施行が予定されています。

変更点 施行時期
営業制限の見直し 2018年10月24日
簡易取消しの新設
欠格事由の追加
許可単位の見直し 2020年4月ごろ

以下ではこれらの変更点について、1つずつ内容を解説していきます。

営業所や依頼者の自宅以外での取引が可能になる

改正前の古物営業法では、営業所や取引の相手方の住所等以外の場所で、古物商以外の一般人から古物を受け取ることは禁止されていました。例えばリサイクルショップであれば店頭買取か依頼者の自宅、不用品回収業者であれば依頼者の自宅でしか買取業務を行えなかったのです。

しかし10月24日の改正後は、取引の3日前までに日時と場所の届出を(仮設店舗営業届出書)、管轄の公安委員会に対して提出していれば、届出をした仮設店舗でも一般人から古物を受け取れるというルールに変わります。これにより、例えば催事場のブースでの買取や、駐車した回収車を仮設店舗として買取を行うといったことができるようになります。

公安委員会が従来よりスピーディに許可を取り消せるように

衝撃を受けている男性

改正前の古物営業法第6条には、許可の取り消し条件の一つとして3ヶ月以上所在不明になった場合が挙げられています。公安委員会からの連絡がつながらない、居場所がわからない状態が3ヶ月続くと、法律に基づいて許可が取り消されるというわけです。

改正後はこの条件がより厳しいものになります。すなわち公安委員会が政府が毎日刊行している官報を使って、当該古物商に対する告知をしているにもかかわらず、告知後30日経っても当該古物商からの申し出がない場合、公安委員会は許可を取り消せるようになったのです。

リサイクルショップと不用品回収業者に限りませんが、営業所の移転等があった場合は届出を確実に行い、公安委員会からの連絡に対応できるよう、今まで以上の注意が必要になるでしょう。

欠格事由に3つの新条件が追加された

改正前の古物営業許可の欠格事由は以下の8点です。

1.成年被後見人・被保佐人・破産者で未だ復権していない者
2.禁錮以上の刑、もしくは特定の犯罪(背任、遺失物横領、盗品等に関する罪)により罰金刑に処せられてから5年経過していない者
3.住居の定まらない者
4.古物営業許可を取り消されてから5年経過しない者
5.許可取り消しの長文期日前一定期間に許可書を返納し、返納日から5年経過していない者
6.営業について成年者と同一の能力を持たない未成年者
7.営業所や古物市場ごとに管理者を専任すると認められないことについて、相当な理由がある者
8.法人の役員が上記に該当する場合

今回の改正では、これらに加えて以下の3つが追加されました。

追加条件 詳細(引用:警察庁
窃盗罪で罰金刑を受けた者 刑法(明治40年法律第45号)第235条(窃盗)に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して5年を経過しない者
暴力団員 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第12条若しくは第12条の6の規定による命令又は同法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から起算して3年を経過しないもの
暴力団員に類する者 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者

営業所等設置のハードルが従来よりも低くなる

都道府県をまたいでリサイクルショップや不用品回収業の営業所等を設置する場合、これまでは各都道府県ごとに古物営業許可を取得する必要がありました。例えば京都府でリサイクルショップを経営している業者が、大阪府でもリサイクルショップを始めようとすると、京都府と大阪府両方の公安委員会から許可を得なければなりませんでした。

しかし改正後はメインとなる営業所等の所在地を管轄している公安委員会から許可をとっていれば、そのほかの都道府県の営業所等に関しては届出を提出するだけで営業ができるようになります。これによりリサイクルショップや不用品回収業の営業所等の設置のハードルが低くなり、今までよりもスピーディに事業を拡大できるようになるでしょう。

この改正を受け、大手リサイクルショップチェーンのコメ兵では、同じく大手珈琲店コメダ珈琲店本店(愛知県名古屋市)の駐車場で買取イベントを行っています。
※2018年10月28日〜2018年11月11日までの期間限定。

「主たる営業所等届出書」が未提出の事業者は許可取り消し

ここまで4つの変更点について解説してきましたが、ここで非常に重要な注意点があります。それは4つ目の変更点であり、2020年4月ごろを目安に施行される許可単位の見直しについての注意点です。

というのもこのルールが正常に機能するためには、公安委員会がすべての古物商についてメインとなる営業所等を把握している必要があります。それができていなければ、どの営業所等に関して許可が必要で、どの営業所等に関しては届出も問題ないのかという判断ができないからです。

書類

そのため2020年4月ごろの施行を視野に入れた政府は、すでに古物営業許可を取得している業者に対して、2018年10月24日から2020年4月までの間に公安員会に対して「主たる営業所等届出書」の提出を義務付けています。この義務を怠った場合は許可が失効し、それ以上営業を継続する場合は無許可営業とみなされてしまいます。

したがってリサイクルショップと不用品回収業者を含む現在古物営業許可を持っている古物商は、2018年10月24日以降の早い段階で「主たる営業所等届出書」を提出しなければならないのです。

2018年10月24日から2020年4月までとなると、まだ2年近くもあるため「今は忙しいし、後回しでも構わないだろう」と考える人もいるかもしれません。しかし2020年4月というのはあくまで目安にすぎません。なぜなら許可単位の見直しの施行期限は「2年を超えない範囲で」と定められているだけだからです。2年を超えなければいいため、施行が1年後や半年後になる可能性もあります。

その時になって慌てて対応したり、「主たる営業所等届出書」の存在をすっかり忘れていて知らぬ間に無許可営業になっていたりしないためにも、できる限り早い時期での対応をおすすめします。

改正古物営業法は「主たる営業所等届出書」に要注意!

今回の古物営業法の改正では、ここで紹介したもの以外にもいくつか変更点があります。しかしリサイクルショップや不用品回収業者にとって最も重要な点は、許可単位の見直しに伴って「主たる営業所等届出書」の提出が必要だということです。業務にしっかりと集中するためにも、対応を後回しにせず、できるだけ早く対応するようにしましょう。