古物営業を営むためには都道府県の公安委員会の許可が必要です。一度取得すると更新の必要もなく、ずっと使える許可証です。しかし、許可が取り消されてしまう場合があります。
古物営業法第6条には、許可の取り消しの対象になる行為が記されています。

INDEX
  1. 不正な手段で許可証を取得した場合
  2. 許可は正当に取ったが、状況が変化した場合
  3. 許可を受けてから6ヶ月以内に営業を開始しない場合
  4. 営業を6ヶ月以上休止して、なお店を開いていない場合
  5. 3ヶ月以上所在不明になった場合
  6. 終わりに

不正な手段で許可証を取得した場合

許可・不許可の札を持つ男性

許可の申請は基本的に自己申告で行います。もちろん各都道府県の公安委員会もチェックをしていますが、公安委員会もすべての古物商が正しく申請をしているのかどうかを把握するのは難しいのが実情です。

すると自己申告であることをいいことに、法律で定められた欠格事由に該当する業者が、許可を取得してしまう場合があります。このような事実が取得後に発覚すると、許可が取り消されてしまいます。

許可の申請を行う際には、事実のみを書きましょう。事業が成長し、軌道に乗ってきたと思っていたところでこれが発覚してしまえばすべてが水の泡です。そのような事態にならないためにも、不正な手段で許可を取得するのは絶対にやめておきましょう。

許可は正当に取ったが、状況が変化した場合

繰り返しますが、古物営業の許可を取るには、様々な制限があります。法令の条文の中には8項目あります。1.不正な手段で許可証を取得した場合は、嘘をついたり、虚偽の申請等をし取得した場合ですが、これは、許可自体は正当な手段で取ったがその後に状態が変化した場合です。

例えば古物営業許可の欠格事由の中には、「破産者で復権を得ないもの」という項目があります。つまり、古物商の許可を取った時には破産者で復権を得ていない状態でなくとも、許可を取った後に破産者になってしまうと許可が取り消されてしまうのです。

これは被保佐人の場合も同様です。すなわち許可を取った時には被保佐人ではなくとも、交通事故や病気等で被保佐人になってしまえば、古物商の許可が取り消されてしまいます。

古物商の許可は、自分で適切な判断ができる業者、破産等してない業者のみに与えられる許可です。したがって欠格事由に該当するような状態になると、許可は取り消されてしまうのです。

許可を受けてから6ヶ月以内に営業を開始しない場合

段ボールの山

営業許可をせっかく取っても、なかなか営業を開始しないと許可を取り消されてしまいます。

この古物営業法は消費者のことを大切に考え、条文が入れられているようです。許可を貰ってから6ヶ月間も営業を開始しないのは、古物商の営業を計画的にできない可能性が高いです。そのような計画性のない業者や人に古物商の営業をやらせてしまうと消費者に多大な迷惑がかかる可能性が高いです。そのためこの条文を入れたのだと思います。

公安委員会としては常に古物商の営業がどのような実態で行われているかを把握しておきたいと考えています。営業許可が出るまで40日から50日程度かかりますので、計画性をもって許可を申請し、許可証を取得したら直ちに営業を開始しましょう。

営業を6ヶ月以上休止して、なお店を開いていない場合

3.許可を受けてから6ヶ月以内に営業を開始しない場合と似たようなものですが、これは営業を開始してからの話です。営業を開始してから6ヶ月間も店を閉めている場合は、許可を取り消してしまおうというものです。

これには、販売の実績は関係ありません。例えば、大変特殊な商品を扱っており、6ヶ月間たまたま売れなかったからと言って、許可が取り消されてしまう訳ではありません。要するに営業活動をされているかが論点です。個人の副業で古物商の営業をなされている業者などは、このようなパターンが多いと思います。

きちんとホームページや販売サイトなどを更新しているが、たまたま半年間売れなかった。このような場合は許可を取り消されませんので安心してください。

3ヶ月以上所在不明になった場合

所在特定を明確に

連絡がとれない、住所がわからないなど公安委員会が当該古物商の所在を3ヶ月以上把握できない場合も、許可が取り消しの対象になる可能性があります(※)。前述したように、公安委員会としては常に古物商の営業がどのような実態で行われているかを把握しておきたいと考えています。このため3ヶ月以上連絡所在が不明になると、公安委員会は許可を取り消せるようになっているのです。

注意したいのは営業所の移転を行うときです。例えば個人で古物商の営業の許可を取っている人が引っ越しをすると、営業所の移転と見なされるため住所の移転届の提出が必要になります。しかしこれを行わずにほったらかしにしていると所在不明と判断され、許可を取り消される可能性があるのです。古物営業法には住居や営業所が変更になった場合に届出の義務があります。それを怠っている訳なので、当然に所在不明と判断され許可が取り消されてもいたしかたないと言えるでしょう。

「同じ市内だから」などと考えて届出を怠っていると所在不明と判断されてしまい、「知らぬ間に許可が取り消されていた」という事態になりかねません。しかもそれを知らずに営業を続けていれば無許可営業になってしまいます。このようなことにならないためにも、届出等はしっかりと提出するようにしましょう。

※2018年施行の改正古物営業法により、公安委員会が政府が毎日刊行している官報を使って、当該古物商に対する告知をしているにもかかわらず、告知後30日経っても当該古物商からの申し出がない場合、公安委員会は許可を取り消せるようになりました。

終わりに

古物営業許可は、ここにあげたような理由で取り消し処分を受けてしまうと、以降5年間新たに許可を取得できなくなる場合もあります。せっかく取得した許可を無駄にしないためにも、住所変更等の届出をしっかりと行うようにしましょう。