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ヤード業またはスクラップ業を行う上で知っておきたい許可や登録があります。近年では、社会のコンプライアンスに対する意識の向上により、リサイクル業界全体もよりクリーンな業界へと変わりつつあります。

この記事では、ヤード業またはスクラップ業を行う上で知っておきたい許可や登録について紹介します。

INDEX
  1. 一般廃棄物処理業(収集運搬・処分業)の許可
  2. 古物商の許可
  3. 金属くず商の許可
    1. 金属くず商の許可申請が必要なのは現在15都道府県(2017年現在)
  4. 産業廃棄物収集運搬業の許可
    1. 産業廃棄物収集運搬業許可の取得要件
  5. 暴力団関係者
  6. 使用済自動車の引取業また第一種フロン類回収業の登録
  7. 自動車解体業と自動車破砕業の許可
  8. ヤード業、スクラップ業を始める方は忘れずに許可の取得と登録を

一般廃棄物処理業(収集運搬・処分業)の許可

役所

一般廃棄物処理業の許可は2つに分かれています。

収集・運搬を行う場合は「一般廃棄物収集運搬業の許可」

そして処分を行う場合の「一般廃棄物処分業の許可」が2つ存在します。

一般廃棄物の収集運搬そして処分は市町村に責任があります。各市町村は当該市町村内の区域内の一般廃棄物の処理を適切に行うために「一般廃棄物処理計画」を定めています。一般廃棄物の収集・運搬・処分は基本的には各市町村がこの一般廃棄物処理計画に則って行ないます。

しかし、一般廃棄物処理を委託する必要があると判断した場合のみ、市町村は市町村以外の業者に収集運搬及び処分を委託することができます。一般廃棄物処理を委託する業者の基準は政令によって定められているので各市町村によって異なります。

その基準を満たした業者には市町村長から一般廃棄物運搬業または一般廃棄物処分業の許可が与えられ、一般廃棄物の処理を行うことが可能になります。

一般廃棄物処理業の許可要件また許可基準に関しては各市町村によって異なります。そのため、事業所がある市町村に直接問い合わせてみることをお勧めします。

古物商の許可

「古物商許可」とは、利益目的で古物(中古及び新中古品)を販売する際に必要となります。
古物商許可証の交付は市役所などの地方公共団体ではなく、事業所の所在する都道府県の警察署(公安委員会)で行われます。古物商許可証の対象品目には、「自動車」「自動二輪車及び原動機付自動車」「自転車類」など13品目があります。

このような金属を含む中古品を買い取り売却する場合は、古物商の許可が必要になります。しかし、買い取った中古品を解体し、金属を部品として販売するのであれば古物商許可は必要なく、代わりに「金属くず商の許可」を申請しなければいけません。

金属くず商の許可

金属くず

古物商許可から派生した許可として「金属くず商許可」があります。古物商許可の対象品目「自動車」、「自動二輪車及び原動機付自転車」そして「自転車類」には鉄、アルミニウム等の金属が含まれています。これら金属を含む商品を買い取って分解し、部品として販売をする場合には「金属くず商許可証」が不可欠です。

金属くずには多くの種類が存在します。金属くずの一例として、鉄スクラップ、銅スクラップ、アルミスクラップ、ステンレススクラップ、ハンダ、鉛、銅線、エアコン配管、アルミサッシなどが挙げられます。

「金属くず商」の許可は法律で定まってはおらず、各都道府県の条例によって規定されています。そのため、都道府県によっては金属くず商の許可が不要な場合もあります。

金属くず商の許可申請が必要なのは現在15都道府県(2017年現在)

2017年現在、金属くず商の許可証の交付を行なっている都道府県は下記の通りです。

北海道・東北エリア 北海道
関東エリア 茨城県、長野県
中部エリア 静岡県、福井県
近畿エリア 大阪府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県
中国エリア 広島県、岡山県、島根県、山口県
四国エリア 徳島県
九州・沖縄エリア なし

※神奈川県のように過去に金属くず回収業に関する条例が廃止になった都道府県があります。

そのため、事業所が所在する都道府県の金属くず回収業に関する最新情報は必ずご自身で確認するようお願いします。

産業廃棄物収集運搬業の許可

金属くずなど産業廃棄物に該当する品目の収集・運搬を事業として行う場合には、事業所がある都道府県の知事から「産業廃棄物収集運搬業の許可」を受けなければいけません。

産業廃棄物収集運搬業許可の取得要件

1. 講習会の受講が修了していること
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する講習会を受講し修了証を取得しなければいけません。

2. 経理的基礎があること
産業物廃棄物の収集・運搬を継続して行うために必要となる経理的基礎を有しているかを判断されます。判断基準として挙げられるのは基本的に以下の3点になります

・利益の計上に問題がないか
・責務超過の状態ではないか
・納税が確実に行われているか

※自治体により判断基準に違いがあるため、参考程度にお願いします。

3. 事業計画の内容が適法であること
産業廃棄物収集運搬業の許可を得るためには、事業計画の内容が適切である必要があります。予定している業務量を適切に処理できる運搬施設及び体制に問題がないことを示す必要があります。運搬先の処理業者が必要な許可を有しているのかも見られます。

4. 運搬施設の体制が整っていること
産業廃棄物を運搬中の運搬車や産業廃棄物を保管する施設から、産業廃棄物が飛散、流失や悪臭漏れなどの問題が起こらない体制が整っていることが不可欠です。

5. 欠格事由にあたらないこと
産業廃棄物収集運搬業の許可は以下の欠格要件4点のいずれかに該当する場合は許可を受けることができません。

・成年被後見人、被保佐人、破産者で免責を受けていない者
・禁固刑を受けてから5年を経過していない者
・廃棄物処理法など産業廃棄物に関わる法律に違反し、罰金以上の刑罰を科せられてから5年を経過していない者

暴力団関係者

詳しい申請方法・場所や必要書類など、産業廃棄物収集運搬業許可に関する情報は各都道府県に電話などで問い合わせてみることをおすすめします。

使用済自動車の引取業また第一種フロン類回収業の登録

ヤード業者またスクラップ業者が使用済み自動車を引き取る際は都知事県知事または保健所設置市長による「引取業」を行う事業所の登録を受けなければなりません。また、使用済自動車からフロン回収を行う場合には「第一種フロン類回収業」の登録も併せて行う必要があります。

環境省が発表している「第一種フロン類回収業者の登録及び回収の基準に関する規定(概要)」では、登録の基準として3点挙げられています。

  1. 事業所ごとに申請書に記載されたフロン類回収設備が使用できること
  2. フロン類回収設備の種類がフロン類の種類に対応するものであること
  3. フロン類回収設備が充てん量に応じた能力であること

自動車解体業と自動車破砕業の許可

自動車解体

2005年1月に施行された自動車リサイクル法により、新規または使用済み自動車の解体を行うヤード業者は「自動車解体業」の許可が必要です。
また、中古自動車の販売のみならず破砕も行う場合、「自動車破砕業」の許可も必要になります。

自動車リサイクル法では「その事業の用に共する施設及び破砕業許可申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして主務省令で定める基準に適合するものであること」と明記されています。スクラップ事業を行う上で自動車破砕業の許可は必須です。

ヤード業、スクラップ業を始める方は忘れずに許可の取得と登録を

この記事で紹介した許可・登録はヤード業またはスクラップ業を始める上で知っておきたいものになります。これらの許可・登録の中には、なくては困るものもありますので、十分に注意を払っておきましょう。

もし、許可や登録についてわからないことがあれば、事業所の開業を予定している都道府県または市町村へご相談することをお勧めします。