古物商許可さえあれば古物を扱う業種はほとんどが営業できる
古物商許可があれば、古本や古着、中古自動車販売店や金券ショップなど、幅広い業種が営業できます。
逆に言えば、中古品(ビンテージ)をはじめ、古物を扱う業種を営むには古物商許可が必要不可欠となります。
空き家問題の対策として解体工事を行っている業者が、家の解体前に遺品整理で買い取ったものを販売するサービスを開始するために古物商許可をとるといったケースもあります。
古物売買に関する営業形態は3つ
古物を売買する業者の営業形態は以下の3つです。
-
- ・1号営業(古物商)
古物の売買または交換(委託を含む)する営業
(古物の売却のみ・引き取りだけなど、古物の買い取りをしない場合は除く)
-
- ・2号営業(古物市場主)
古物市場を経営する営業(古物商同士の古物売買・交換の市場を運営する者)
-
- ・3号営業(古物競りあっせん業)
古物競りあっせん業(インターネットオークション運営者)
古物商と古物市場主は公安委員会の許可が必要ですが、古物競りあっせん業は公安委員会への届け出だけで済みます。
古物商許可は1号営業に該当しますが、更にここから取り扱う古物によって区分されています。
古物商許可で営業できる業種は大きく分けて「13分野」
古物営業法施行規則では、古物商許可申請が必要になる古物を13分野に分けて定めています。
取り扱う古物の区分によって必要なものを申請する必要があります。一旦許可がおりても新たな区分が追加された時は、その都度変更の手続きが必要です。
上の表に該当する業種を表にしてみました。
他にも、さまざまな物品を扱うリサイクルショップやアンティーク雑貨店、質屋など複数の区分の物品を扱う場合は、それぞれ許可を得る必要があります。
ネットショップの場合でも、上の表に該当する物品を扱う場合は古物商許可が必要になるでしょう。
関連性が強くても別の区分になるものもある
例えば、ゲームソフトは「道具」に分類されますが、ゲーム機は「機械工具」に分類されます。
リサイクルショップなどでこの2つを一緒に扱う場合、両方の区分で申請が必要になります。
古物区分の追加・変更の届け出は14日以内に
許可申請する際に取り扱う区分を申告しますが、後になって別の区分の古物を取り扱うことになった場合は、変更の届け出をする必要があります。14日以内に、許可申請した警察署か店舗管轄の警察署を経由して公安委員会に変更の届け出をしましょう。
ただし複数の都道府県にまたがって営業している場合は、営業所がある全ての都道府県で変更の手続きが必要です。
古物商許可があればインターネット上でも販売できる
最近では、オークションなどインターネット上でも古物が売買されるようになりました。古物商がamazonや楽天などの通販サイトを使って古物を売買するには、古物商許可申請で「ホームページ利用取引」の手続きが必要となるケースもあります。
申請が必要なのにそのままインターネット上で売買をしてしまうと、無許可営業となってしまう可能性もあるので注意しましょう。
URL使用権限を疎明する資料が無い場合は問い合わせをしよう
ホームページ利用取引を申請するには、「URLの使用する権限を疎明する資料」が必要ですが、amazonのようにこの資料が入手できないケースもあるようです。
その場合は、カスタマーサービスや古物商許可をもらっている都道府県の警察本部へ問い合せてみましょう。
この問題に対する対処法は、都道府県によって異なる場合があります。必ず許可をもらった都道府県の警察本部へ問い合わせるようにしてください。
ネットオークションをする場合は各情報を届け出す必要がある
インターネット上で古物の競り売り(ネットオークション)をする場合、そのサイトのURLやオークションの期間、通信手段の種類を公安委員会に届け出る必要があると古物営業法で定められています。
この届け出の期間は6ヶ月が最長ですが、再度届け出をすれば延長も可能です。
出品者として参加する場合は届け出が不要
ネットオークションに出品者として参加する場合、競り売りの届け出は必要ありません。
例えば自らインターネットオークションを主催する場合、古物競りあっせん業の届け出が必要ですが、古物商として古物あっせん業者が運営するオークション(ヤフオクなど)に出品するだけであれば、届け出は必要ありません。
ただし、インターネットオークションのサイト内にショップを開設して古物を売買する場合は、ホームページ利用取引の変更手続きをする必要があるので、古物商許可申請をした警察署で手続きをしましょう。
また、複数のサイトで取引をする場合は全てのURLを届け出る必要があります。
ネットオークションで大量の古物を出品できる
インターネットオークションで古物を売買する場合も、古物商許可があれば大量の商品を一度に出品することも可能です。
以下は、経済産業省が好評している「インターネットオークションにおける『販売業者』に係るガイドライン」から抜粋した例です。
- ・過去1ヶ月間に200点以上、または1時点において100点以上の商品を新規出品
- ・過去1ヶ月間の落札額の合計が100万円以上
- ・過去1年間の落札額の合計が1,000万円以上
このような規模の取引も古物商許可があれば問題ありません。
古物商許可があれば、中古品をはじめとした古物を売買する様々な業種が営業できます。
ただし、許可申請の際に申告した区分以外の古物を新たに取り扱う場合は、許可申請をした警察署経由で公安委員会へ届け出る必要があります。
これを怠ると無許可営業となり、最悪のケースでは許可が取り消されることもあるので十分に注意しましょう。